高校生が欲しい「物」,製作プロジェクト 第1回 ―― 生徒と一緒に電子工作「手軽にできるLEDイルミネーション」
工業高校の先生が生徒に作りたい物をたずね,実際に作ってもらった事例を紹介する.今回は第1回として,生徒が作ったLEDイルミネーションを掲載する. (編集部)
最近ちまたで「ものづくり」と言う言葉があふれています.2007年問題や少子化に伴い,たくみの技の伝承が危ぶまれている現状で生まれた言葉でしょうか.資源の無い日本においては,原料を輸入し,付加価値を付けて輸出するしか手がありません.海外の製品よりも高い品質の「物」を作らねばなりません.そのためにも,卓越した技能や知識を持つ若者を育て上げなければなりません.しかし,厳しいだけの訓練だけではなく,ものづくりへの関心を高めることも必要だと思います.身の回りで必要な物,あると便利な物,夢のある物へ目を向けさせ,自らの手で実現させてやることも大切だと考えています.
そこで,生徒たちに今の自分の技量は別にして,どんな物に興味があるか,作ってみたいかをアンケートを採ってみました.内容によっては生徒と一緒になって作るつもりです.アンケートは筆者の勤務する愛知県立岡崎工業高等学校情報技術科3年生の生徒39名を対象とし,25件の回答を得ました.残りの生徒は「特に無い」そうです.
●高校生が興味ある物,作ってみたい物,アンケート結果
「実現可能」
・自転車用速度計(1件,以降,特筆無きは1件とする)
・すもうロボット(2件)
・マイコンで作る時計(2件)
・マイコンで作るストップウォッチ
・朝日に反応する目覚まし時計
・明るさを自動調整してくれるスタンドライト
・LEDを利用したイルミネーション
・マイコン・プログラム書き込み用無線通信ユニット
「知識とお金が掛かる」
・無線操縦ヘリコプタ
・大出力(100W)真空管アンプ
・いろいろな音楽媒体のソフトを再生できるアンプ(2件)
・小型液晶テレビ
・めがねを掛けると面前にパソコン・ディスプレイ
「相当な技術とお金が掛かる」
・四方から見える3D映像装置
・立体で出力できるプリンタ
・人間の話す内容に応答するロボット
・ソフト・テニス用サーブ・マシン
「無理難題」
・ドラえもんのタケコプター
・NHKが見えないテレビ
「ユニーク」
・冷やす電子レンジ
・使うと充電されていく電池
アンケート結果を上記のように五つに分類してみました.内容は夢のある物,超越した物からちょっとその気になれば製作できる物まで多種多様でした.ほとんどの生徒は自作する方が安くできると思っているようでした.
手作りは,自分好みに作ることができるうえ,「ものづくり」の面白さを体験できる,さらに創造力や発想力を鍛えられると生徒に伝えました.