自動車分野の機能安全規格に対処する実務ガイドライン「MISRA-SA」を知る ――自動車業界の要請はCコーディング・ガイドラインから安全性解析へ
以下に,ドラフト版の概略(要約)を示します.
第1章:本書の目的,IEC 61508やDEF STAN00-56との関係
MISRA-SAを策定したメンバはIEC 61508の策定にもかかわった人たちであり,ISO 26262の委員でもあります.また,MISRA-Cによるコード品質改善も推進してきたわけですから,標準ルールを作るだけでは現場に適用するのは難しいことを理解しています.このため,過去10数年の経緯を解説して,MISRA-SAの位置付けを明確にしています.
第2章:安全性保障の開発文化,安全性を扱うための概念
安全性マネージメントという言葉を用いて,製品開発の中で安全性を明示的に設計に取り込むための仕組みや考え方を解説しています.この仕組みがあれば,開発組織において国際標準が要請するさまざまなドキュメントを合理的に作成できるはずです.
第3章:従来のV字開発プロセスに安全性保障を加味する
V字開発プロセスは,よく知られているところです.このプロセスに対して,安全性を保障するための工程をどのように加えるべきかが解説されています.
第4章:事前安全性解析
事前安全性解析とは,システム開発の事前(もしくは初期)に行うべき製品の安全面の解析作業です.特にプログラミング可能な電子デバイス(いわゆるマイコンなどのこと.IEC 61508で"programmable electronic"と表現されている.PEと略す)を新規に用いて製品を開発する場合に,そのリスク評価を含めて解析を実施する方法が記述されています(具体的な項目については,図1に示す「事前安全性解析」ブロックの中の記述を参照のこと).
第5章:詳細安全性解析
詳細安全性解析とは,安全性解析をより具体的に記述したものです.「システム設計」,「類推的解析と演繹的解析」,「結果解析」などの項目が含まれます.
第6章:参考文献
付録 A. システムと潜在危険(hazard)特定モデル
B. What If解析
C. HAZOP実施への助言
D. リスク・モデルとリスク評価
E. 制御性パラメータと分類
F. FMEA実施への助言
G. FTA実施への助言
付録として30ページを費やして,安全性設計の分野で使われている技法を自動車に適用するための示唆が書かれています.