自動車分野の機能安全規格に対処する実務ガイドライン「MISRA-SA」を知る ――自動車業界の要請はCコーディング・ガイドラインから安全性解析へ
規格には,どの工程でどういった文書(ドキュメント)をこうした方法論で作りなさい,という定義が並んでいます.例えば,航空宇宙産業でのキャリアのある技術者ならば,規格を読めばどうすればよいかが分かりますし,開発組織自体がその定義を満たす形になっているものです.しかし,一般の自動車産業では,航空宇宙産業などと比較して発展の仕方が異なったため,技術者がエンジニアリング・プロセスと計算根拠を学ぶ必要があります.さらに,定式化された安全性解析についても知らない技術者が多く存在します.こうした自動車産業の実情を踏まえて発行されるのが,MISRA-SAです.いわば,これから生まれるISO 26262に対処するための,実務上のガイドラインという位置付けになります(図1).