自動車分野の機能安全規格に対処する実務ガイドライン「MISRA-SA」を知る ――自動車業界の要請はCコーディング・ガイドラインから安全性解析へ
筆者がMISRAの存在を知ったのは1996年でした.それ以来10年間,彼らの活動を観察する機会(一種の幸運)に恵まれました.MISRAは1900年代の初頭から,産学連携で来るべき自動車産業の在り方を研究し,時代の要請に合わせてガイドラインを発行してきています.これは一朝一夕ではまねできないものです.幸い,日本はMISRA-Cの策定にいろいろ貢献しているので注1,MISRA-SAに関しても優先的に情報を提供してもらえる立場にあります.本稿もMISRAの了承の下に,ドラフト版に基づいて解説しています.
● MISRA-SAの概略
MISRA-SAについて知りたい方は,何はさておき原文を読むのが一番です注2.ただし,99ページの英文を一気に通読できる気力と語学力が必要です.そこまで労力(コスト)をかけることにためらいがある方には,本稿を読んで全体の骨子を理解しておき,翻訳版が出てから詳細を理解する,という方法をお勧めします.
注1;ここでは主に,自動車技術会のテクニカル・ペーパ,自動車工業会のサブセット・ガイドライン,2002年4月に発足したMISRA-C研究会のMISRA-C解説書などを指している.MISRA-C研究会は現在,NPO法人であるSESSAME(組込みソフトウェア管理者・技術者育成研究会)のワーキング・グループとして活動している.
注2;ドラフト版は一般には公開されていない.興味のある方は直接MISRAに掛け合うか,SESSAME事務局に連絡してみることをお勧めする.