自動車分野の機能安全規格に対処する実務ガイドライン「MISRA-SA」を知る ――自動車業界の要請はCコーディング・ガイドラインから安全性解析へ
● 自動車分野における機能安全対策の実務指針
MISRA-SAは,自動車および自動車のサブシステムで安全性に関連するソフトウェアを開発する技術者のための,安全性解析に関するガイドラインです.現在は最終ドラフト版が配布され,世界各国からコメントを集めているところです(1).これが終了すると初版が発行されます(早ければ,2006年末までに発行される予定).
自動車業界では今世紀に入ってから,完成車であれECU(electric control unit)部品であれ,搭載する組み込み制御ソフトウェアの信頼性を明確に示すことを求める声が高くなってきました.この要請に応えるため,Cソース・コードの信頼性を検証する手段として,MISRA-Cが各国の自動車メーカで採用されたという経緯があります.日本はこの要請に的確に対応して,ソース・コード・レベルでの品質向上を果たしました.そして次の課題が,安全性解析というわけです.
安全性検証という観点では,IEC 61508とその派生規格が今後の国際標準になると言われています.自動車分野における派生規格としては「ISO 26262」が2008年に策定される予定です.MISRA-SAは,この規格を満足する開発実務を実現するための指南書という位置付けになります.