TCP/IPプロトコル・スタックの省メモリ開発事例(後編) ――ROM 8Kバイト,RAM 0.5KバイトにTCP/IPプロトコル・スタックを収める
2.デモ・システムで技術を「見せる」
TCP/IPプロトコル・スタックの開発が一段落したところで,応用分野の一つである遠隔監視・制御向けデモンストレーション・システムの作成について検討しました.遠隔操作のデモンストレーションとしては,LEDのON/OFFを制御するものをよく見かけますが,あまりおもしろみがありません.何か動きのあるものにしたいと考え,今回のデモンストレーションでは,ラジコン・カーを遠隔制御することにしました.
携帯電話のブラウザから,ボタン操作によってラジコン・カーを遠隔制御するというものです(図2).デモンストレーションの流れを以下に示します.
- 携帯電話のパケット通信用モデムを用いて,PPP(point-to-point protocol)でインターネットに接続する
- SMTP(simple mail transfer protocol)を用いて,携帯電話あてにIPアドレスを電子メールで送信する
- 携帯電話のブラウザを用いて,通知されたIPアドレスにHTTP(hypertext transfer protocol)でアクセスする
- HTTPサーバから,ラジコン・カー制御用のHTML(hypertext markup language)ファイルを携帯電話のブラウザに送信する
- 携帯電話から,ブラウザ上に表示された制御ボタンを押して操作を指示する(制御内容はHTTPで送信)
- HTTPサーバは,指示された内容に応じてCGI(common gateway interface)を実行し,所定のDTMF(dial tone multi-frequency)トーンを無線ユニットに出力して,ラジコン・カーを制御する
ラジコン・カーを制御するには,ラジコン・カー付属の無線ユニットにDTMFトーンを送る必要があります.DTMFトーンは,マイコンのタイマを用いてPWM(pulse width modulation)で生成するようにしました.