見どころは勢いに乗る自動車関連とFPGA ――ET(Embedded Technology)2002
2002年11月20日~22日に,パシフィコ横浜にて組み込み技術関連の展示会「ET(Embedded Technology)2002」が開催される.景気の低迷が続くなか,今後の成長分野と目されているカー・エレクトロニクス関連や,高機能化・高集積化が進んだFPGAなどに,注目が集まりそうだ.ここではET2002実行委員の星 光行氏と東京都立産業技術研究所の坂巻 佳壽美氏に,盛り上がりを期待している展示などについて紹介していただいた.(編集部)
[写真1] 昨年(MST2001)の会場のようす
●ITSパビリオン,計測器ゾーンなどの新たな試みに注目
ET2002を主催しているのは,社団法人日本システムハウス協会(JASA)という業界団体である.そのため,産学協同や各種業界団体とのコラボレーションなど,一企業が主催するイベントと比べて幅広い専門分野の展示やセミナなどが集まっているという印象がある.
その中でも筆者は,新たな試みとして今年初めて設置される,カー・エレクトロニクス関連のパビリオンや計測器関連のゾーンに注目している.
1) 成長が期待されるITS(高度道路交通システム)
展示会場には,今年から「ITSパビリオン」が設置される.ITS Japanと財団法人自動車走行電子技術協会という二つの団体が出展する.ITS関連は,組み込み製品の中でも今後の成長がもっとも期待されている分野である.わずか10数年前に登場したカー・ナビゲーション・システムが,今や車における総合情報端末へと変身を遂げつつある.そして,その装置がモバイル通信,地上波ディジタル放送などと融合し,車における情報処理の中核として発達していくことになる.
さらに,そのシステムを支える基地局側のしくみやインフラストラクチャの整備など,ITSの関連分野は実に幅広い.展示会場では,こうした現在のITS関連技術や,近未来を予感させる技術などが展示される予定である.
また,最終日(11月22日)の午後には,トヨタ自動車 第5開発センター 第2電子技術部 部長 重松 崇氏の基調講演「自動車産業におけるソフトウェア開発戦略について」が予定されている(基調講演は無料で聴講できる).重松氏は開発者であり,かつその製品を使用した車を製造・販売する立場にある.今後のITS関連製品のソフトウェア開発に役立つ話が聞けることだろう.
2) 製品開発を支える計測器にも注目
さらに,展示会場では,計測器関連の企業のブースを集めたゾーン「Embedded Technology Test & Measurement Zone」が新設される.年々複雑になる組み込みシステムであるが,それらの製品開発を支えているのは計測器である.国内外の計測器メーカが集まり,最新の計測器の展示を行う.
良いツールは良い製品を生み出す.製品開発の効率化のためにも,ぜひ立ち寄ってみたいと思っている.
3) Embedded Week――じっくり学ぶ好機
展示会は11月20日からの3日間だが,月曜日(11月18日)から「チュートリアル・セッション」が開催される.つまり,その週はまるまるEmbedded Weekというわけである.
チュートリアル・セッションは,初心者向けに今年から登場した有料の入門セミナである.異なるテーマごとに全部で12のセッションが用意されており,それぞれ1日のコース(10:30~17:00)となっている.その分野を専門とする講師が,一つのテーマを1日かけて説明するため,自分の専門分野以外の基礎知識の習得や,自社の新人教育に利用するとよいだろう.
星 光行
ET2002実行委員