半導体メーカ各社が車載機器関連部品をこぞって展示 ――CEATEC JAPAN 2002

組み込みネット編集部

tag: 組み込み 半導体

レポート 2002年10月 9日

●ディジタル・アンプを搭載した世界初の携帯型MDプレーヤ

 シャープは,ディジタル・アンプを搭載した携帯型MDプレーヤ「MD-DS8シリーズ」を展示した(写真17).携帯型MDプレーヤにディジタル・アンプが搭載されたのは今回が初めて.2002年9月17日に出荷を開始した.

 本MDプレーヤには,ATRAC伸張回路とΔ-Σ変調回路を1チップにまとめたディジタル・アンプLSIが搭載されている.今までは,消費電力が高いなどの問題があり,ディジタル・アンプLSIを携帯機器に搭載することは難しかったという.再生時間は180時間(付属電池とアルカリ電池併用時).

 本MDプレーヤは,左右の+チャネルの音声信号と-チャネルの音声信号がそれぞれ独立の出力を持つフルブリッジ方式を採用している.これにより,電圧変動などが原因でおこる音のひずみやノイズ成分をお互いにキャンセルする.一般的な携帯型MDプレーヤでは,左右の-チャネルの出力信号を共用していることが多いという.

 同社は,ディジタル・アンプの搭載が予想される携帯電話などの市場への応用も検討している.なお,2002年11月にはソニーもディジタル・アンプを搭載した携帯型MDプレーヤを発売する予定であるという.

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[写真16]ディジタル・アンプを搭載した携帯型MDプレーヤ
携帯型MDプレーヤにディジタル・アンプLSIが搭載されたのは今回が初めて.今後は,携帯電話などの小型機器への搭載が予想される.

●カメラ付き携帯電話のフラッシュになる白色LEDランプを量産開始

 シチズン電子は,カメラ付き携帯電話のフラッシュとして利用できる白色LEDランプ「CL-470Sシリーズ」を展示した(写真18写真19).一般的なカメラのフラッシュとして利用されているキセノン管を携帯電話に組み込めるサイズにまで小型化することは難しいとされている.

 本LEDは,日亜化学工業のGaNを用いたLED素子に蛍光体材料を混合して作られている.なお,シチズン電子は日亜化学工業と白色LEDに関するライセンス契約を結んでいる.

 50cmの距離における輝度は,パルス点灯時が24ルクス,連続点灯時が8ルクスである.3.5mm×3.5mm×1.0mmの表面実装パッケージにLED素子を1~3個封止できる.許容損失電力は80mW.順方向電流は20mA.パルス順方向電流は100mA(デューティ比が1/10以下,パルス幅が30ms以下の場合).逆方向電圧は5V.2002年9月下旬から量産が開始されている.サンプル価格は500円.

 このほか,四つのLED素子を内蔵できる,外形寸法7.0mm×7.0mm×1.0mmの白色LED「CL-460Sシリーズ」を展示した.このLEDは2002年9月下旬より発売されているKDDIのカメラ付き携帯電話「A3015SA」に搭載されている.

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[写真18]携帯電話向け白色LEDランプ
50cmの距離における輝度は,パルス点灯時が24ルクス,連続点灯時が8ルクス.外形寸法は3.5mm×3.5mm×1.0mm.


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[写真19]携帯電話向け白色LEDランプの外観

●E-GSM,DCS,PCSの三つの周波数帯域に対応した送信用モジュール

 京セラは,E-GSM(Enhanced Global System for Mobile Communication),DCS(Digital Cellular System),PCS(Personal Communication Service)の三つの周波数帯域に対応した送信用モジュールを展示した(写真20).本モジュールは,三菱電機の開発したパワー・アンプを搭載している.また,基板には京セラのLTCC(low temperature cofired ceramic)を用いている.LTCC基板は,誘電率が18.7,Q値が2,000未満の低温焼成材料を用いて製造した.

 本モジュールは,パワー・アンプと出力レベル制御用カプラ(方向結合器),アンテナ・スイッチ回路から構成される.E-GSMの場合の電力負荷効率は60%,DCS/PCSの場合は56%である.

 外形寸法は7.5mm×8.5mm×1.5mm.これは,ディスクリート部品を組み合わせて構成した場合のRF回路部のサイズの約1/3である.量産出荷の開始時期は2003年6月.

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[写真20]E-GSM,DCS,PCSの三つの周波数帯域に対応した送信用モジュール
本モジュールは,パワー・アンプと出力レベル制御用カプラ(方向結合器),アンテナ・スイッチ回路から構成される.

●効率が最大96%の携帯機器向けDC-DCコンバータ

 FDKは,効率が最大96%の携帯機器向けDC-DCコンバータ「GMシリーズ」を展示した.入力電圧は3.0V~5.0V,出力電圧は1.25V~4.8V(入力電圧-0.2V).出力電流は最大500mA.負荷抵抗は110mΩ.

 本DC-DCコンバータでは,内蔵のチョーク・コイルを新たに開発し,コンバータの性能に影響するインダクタの性能を向上させた.インダクタンスの値は7μH.また,低損失のフェライト材料の開発により,コア損失を同社の従来品の1/3に低減した.外形寸法は3.4mm×3.0mm×1.8mm,重量は0.06gである.量産出荷の開始時期は2003年春ごろ.

●インターフェース機器で携帯電話を簡単に操作

 タムラ製作所は,携帯電話のコネクタに取り付けるだけで情報を入出力できるインターフェース機器「Xnavi2」を展示した(写真21).Xnavi2には,あらかじめ行いたい操作を専用ソフトウェアを使って書き込んでおく.携帯電話で行える操作のほとんどをXnavi2から実行できるという.例えば,自社のWebサイトに誘導したり,インターネット・メールをあらかじめ設定したアドレスに送信できる.

 Xnavi2は,NTTドコモ,KDDI(au),J-フォンの各社の携帯電話(インターネット・メール機能を持つ機種に限る)に対応している.

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[写真21]携帯電話に外部から情報を入出力する「Xnavi2」
携帯電話に差し込むと,例えば特定のホームページに接続させることができる.

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