半導体メーカ各社が車載機器関連部品をこぞって展示 ――CEATEC JAPAN 2002

組み込みネット編集部

tag: 組み込み 半導体

レポート 2002年10月 9日

●燃料電池用のDC-DCコンバータ

 TDKのブースでは,米国Ford Motor社用に開発された燃料電池車用DC-DCコンバータが展示されていた(写真8).本DC-DCコンバータは,燃料電池で発電した直流350Vの電圧を14.5Vに変換する.出力電力は3kW.低電圧の負荷への電力供給と12Vバッテリの充電に使用される.

p08.jpg
[写真8]Ford Motor社向け燃料電池車用DC-DCコンバータ
同社は,燃料電池車向けだけでなくハイブリッド車向けのDC-DCコンバータも開発している.

 このほか,TDKはCANバス・システム用のEMCフィルタ「ACT4523シリーズ」も展示した.結合係数を制御してディファレンシャル・モード・ノイズとコモン・モード・ノイズを除去するという.

p09.jpg
[写真9]ACT4523シリーズ
CANバス・システムにおいて,ディファレンシャル・モード・ノイズとコモン・モード・ノイズを除去する.

●チョロQで音楽を楽しむ!?

 タカラは,メモリースティックDuoに対応した音楽録音・再生プレーヤ「MチョロQ」を展示した(写真10).MチョロQには光ディジタル入力端子が付いており,専用ケーブルを介してオーディオ・プレーヤと直接接続することができる.圧縮方式としてはATRAC3を採用した.ブースの来場者から「このチョロQは走行するのか?」という声が多く聞かれたが,残念ながらMチョロQは走らない.

 2003年2月に発売を開始する予定.価格は19,800円を予定している.電源アダプタとイヤホンが付属する.バッテリはリチウムイオン電池で,動作時間は約2時間という.

p10.jpg
[写真10]MチョロQ
走ることはできないが,音楽を録音・再生できる.

●無機ELディスプレイ,いよいよカラー化へ

 TDKは,輝度200cd/m2の4.25インチ型無機EL(Electro Luminescence)ディスプレイを展示した(写真11).色数は112万色.カナダiFire Technology社の技術をもとにTDKが開発した.産業機器や車載機器,医療機器などに利用できる.無機ELとは,無機化合物を利用した自己発光素子のことである.フル・カラーの無機ELディスプレイに対する来場者の関心は高く,ブースには人だかりができていた.

 高輝度の青色蛍光体材料が得られなかったことなどにより,無機ELディスプレイのフル・カラー化は遅れていたという.TDKが新たに開発した蛍光体材料を用いることにより,今回の高輝度,カラー化を実現した.

 本ディスプレイでは,アルミナ基板,電極,セラミックス・ペースト,発光体が積層されている.耐振動性に強く,耐環境動作性にも優れているという.

 本ディスプレイの駆動は,パッシブ・マトリックス方式である.パッシブ・マトリックス駆動の発光方式は瞬時発光,画素表示は線順次方式.半減寿命は3万時間.駆動電圧は150V.動作温度範囲は0℃~50℃.白色全点灯時の消費電力は15W.画素数は240×180ピクセル,画素ピッチは0.33mm×0.33mmである.

p11.jpg
[写真11]輝度200cd/m2のカラー無機ELディスプレイ
青色を含む蛍光体材料を新たに開発して,高輝度,カラー化を実現した.

●白色発光を利用して低分子型有機ELディスプレイの輝度を300cd/m2に

 三洋電機は,輝度が約300cd/m2の14.7インチ型有機ELディスプレイ(低分子型)を展示した(写真12).本ディスプレイでは,白色発光とカラー・フィルタを組み合わせている.白色の有機材料の発光効率は15cd/A以上と高いため,高輝度を実現できたという.三洋電機と米国Eastman Kodak社が共同で本有機材料を開発した.三洋電機は,3色(RGB)の有機材料を発光層に利用した有機ELディスプレイを以前から展示していたが,白色発光層を利用した有機ELディスプレイを展示したのは今回が初めてであるという.

p12.jpg
[写真12]白色発光を利用した14.7インチ型有機ELディスプレイ
低分子材料を用いた三洋電機の有機ELディスプレイ.同社が白色発光を利用した有機ELディスプレイを展示するのは,今回が初めて.

 本ディスプレイでは,低温ポリシリコンTFT基板,カラー・フィルタ,陽極,正孔輸送層,白色発光層,電子輸送層,陰極が積層されている(写真13).画素数は1,280×720ピクセル,画素ピッチは85μm×255μm.コントラスト比は約1対500である.

p13.jpg
[写真13]白色発光を利用した有機ELディスプレイの構造
低温ポリシリコンTFT基板,カラー・フィルタ,陽極,正孔輸送層,白色発光層,電子輸送層,陰極が積層されている.

 また,ロームのブースでは,低分子型の2.5インチ型有機ELディスプレイが展示されていた(写真14).駆動はパッシブ・マトリックス方式.輝度は100cd/m2.画素数は160×128ピクセル,画素ピッチは0.31mm×0.30mmである.

 このほか東芝のブースなどでも,有機ELディスプレイが展示されていた.

p14.jpg
[写真14]2.5インチ型の有機ELディスプレイ
同じく,低分子材料を用いたロームの有機ELディスプレイ.駆動にはパッシブ・マトリックス方式が採用されている.

●輝度が400cd/m2の8インチ型フル・カラーFED登場

 双葉電子工業は,輝度が400cd/m2の8インチ型フル・カラーFED(fieled emisson display;電解放出ディスプレイ)を展示した(写真15).FEDは,自己発光ディスプレイの一種である.陰極から電子を取り出し,陽極に塗布した蛍光体に衝突させて発光する(電子線励起発光).

 本FEDの画素数は480×234ピクセル,画素ピッチは0.123mm×0.420mmである.色数は16万色.消費電力は4W.温度範囲は-40℃~+85℃.視野角は160度.ディスプレイ用の電源には,村田製作所のカスタム品の電源ボードを採用した(写真16).主に,産業用機器や車載機器などへの搭載を考えているという.

p15.jpg
[写真15]8インチ型フル・カラーFED
本ディスプレイは,陰極から電子を取り出し,陽極に塗布した蛍光体に衝突させて発光する.電源には,村田製作所の電源ボードが使われている.

p16.jpg
[写真16]電源ボード
本ディスプレイ用の電源ボード.村田製作所が開発したカスタム品である.

組み込みキャッチアップ

お知らせ 一覧を見る

電子書籍の最新刊! FPGAマガジン No.12『ARMコアFPGA×Linux初体験』好評発売中

FPGAマガジン No.11『性能UP! アルゴリズム×手仕上げHDL』好評発売中! PDF版もあります

PICK UP用語

EV(電気自動車)

関連記事

EnOcean

関連記事

Android

関連記事

ニュース 一覧を見る
Tech Villageブログ

渡辺のぼるのロボコン・プロモータ日記

2年ぶりのブログ更新w

2016年10月 9日

Hamana Project

Hamana-8最終打ち上げ報告(その2)

2012年6月26日