IPv6,無線LAN,ギガビットEthernetに注目集まる ――NetWorld+Interop 2002 Tokyo

組み込みネット編集部

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レポート 2002年7月11日

●802.11a準拠製品が続々登場

 NECは,IEEE802.11aに準拠したチップセットを搭載したPCMCIAカードを展示した.802.11aチップセットは,MAC層処理やモデム処理を行うベースバンドLSI「BB_LSI」と,IF(中間周波)LSIから成る(写真5).RF部はディスクリート部品で構成されている.本チップセットは,NTT(日本電信電話)のアクセスサービスシステム研究所とNECが共同で開発した.

 国内における5GHz帯の無線アクセス・サービス向けの周波数は,現在,屋内では5.2GHzが,屋外では5.03G~5.091GHzが割り当てられている.数年後には屋外の周波数帯は4.9G~5.0GHzに移行する予定である.本チップセットは5.03G~5.2GHzの帯域に対応しているが,次期製品では4.9G~5.875GHzの帯域に対応していくという.

 本チップセットの最大データ転送速度は36Mbps.ベースバンドLSIはNECのRISC CPUコア「V850E」を内蔵している.

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[写真5]NECの802.11aベースバンドLSI「BB_LSI」

 一方,インテルのブースでは,802.11aと802.11bのデュアル・バンドに対応したアクセス・ポイント(無線LANの基地局)「PRO/Wireless 5000 LAN」のデモンストレーションを行っていた(写真6).展示会会場内の各出展社ブースやコンファレンス会場を結ぶネットワーク「ShowNet」の内容を,インテルのブース内に取り付けられたPRO/Wireless 5000 LANから802.11a/b CardBusアダプタを搭載したノート・パソコンへ送信していた.

 PRO/Wireless 5000 LANは2002年8月~9月に出荷される予定.価格は13,800円.CardBusアダプタとしては,802.11aと802.11bに対応した製品を発売している. 

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[写真6]インテルのブースに取り付けられたアクセス・ポイント「PRO/Wireless 5000 LAN」

●ギガビットEthernet機器の開発環境が整う

 ウィンドリバーのブースでは,iSCSIベースのSAN(ストレージ・エリア・ネットワーク)機器向けの開発環境「TINA(Tornado for Intelligent Network Acceleration)」を用いたデモンストレーションを行っていた(写真7写真8).TINAは,同社のリアルタイムOS「IxWorks」(VxWorksの小規模版)を含むソフトウェア開発環境である.TCP/IPスタックやiSCSIプロトコル用のソース・コード,リファレンス・ボードなどを提供する.ホストのOSとしては,WindowsNT/2000に対応している.

 このデモンストレーションでは,ギガビットEthernetを介して,TINAリファレンス・ボードを搭載したパソコンとハード・ディスク装置の間で通信を行っていた.本開発環境は,「NetWorld+Interop 2002 Las Vegas」でストレージ・ネットワーキング分野の"Best of Interop Award"を受賞した.

 ギガビットEthernetを介して通信する場合,ホストのCPU負荷の80%がネットワーク処理に使用されるという.TINAリファレンス・ボードには米国Intel社のXScaleプロセッサが搭載されており,そこでネットワーク処理を行うため,ホストCPUのネットワーク処理に費やす負荷は20%以下となるという.なお,今回のリファレンス・ボードにはXScaleアーキテクチャ・ベースのCPUを搭載したが,要求に応じてPentiumプロセッサやSHプロセッサにも対応できるという.

 本開発環境は,iSCSI プロトコル・レイヤ仕様のバージョン0.8に準拠している.また,ギガビットEthernet に対応できるように特別に修正されたTCP/IPプロトコル・スタックとドライバが含まれている.

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[写真7]ウィンドリバー社のTINAリファレンス・ボード


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[写真8]ウィンドリバー社のデモンストレーションのようす
手前のパソコンにTINAリファレンス・ボードが搭載されている.

 また,インフィニオンテクノロジーズジャパンは,10GビットEthernet用トランシーバLSI「TenGiPHY」シリーズを展示した(写真9).TenGiPHYシリーズでは,LAN PHYに対応した「TenGiPHY-L」と,WAN PHYに対応した「TenGiPHY-W」の2種類を用意する.

 TenGiPHY-Wは,10GビットEthernetの物理層で行われるXGXS(3.125Gビット×4チャネルの電気信号送受信)やPCS(符号変換),PMA(10Gbpsの電気信号の送受信),WIS(10GビットEthernetをWANに接続するため,WAN PHYの物理層でSONETフレームの変換処理を行う)などの処理を行う.また,PCSで必要な64B/66B CODEC,XGXSで必要な8B/10B CODEC,OC-192/STM64用フレーマを内蔵している.

 そのほかに,CDR(Clock Data Recovery)とCMU(Clock Multiply Unit)を1チップに集積した.CDRは二つのPLLを内蔵しており,入力データ信号とPLLの周波数を比較して,LSI内部のVCOに同期したクロックを生成する.CMUも二つのPLLを内蔵しており,送信信号と基準となる10GHzのクロックを生成する.

 入出力インターフェースとしては,XAUI(3.125Gbps×4)や9.95G10.5GbpsGCML(Current Mode Logic)などに対応している.

 TenGiPHY-L,TenGiPHY-Wともにサンプル出荷は2002年9月から,量産出荷は同年12月からそれぞれ開始する予定.

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[写真9]インフィニオン社の10GビットEthernetトランシーバLSI「TenGiPHY」

 このほか,アルチザネットワークスは,10GビットEthernet向けのスイッチング・テスト・システム「AN-Pro 800」を展示した(写真10).ターミナル間のトラフィックやプロトコルの解析を行ったり,疑似的にプロトコル・データを生成する機能を持つ.

 IPv6とIPv4のパケットに対応している.また,ヘッダも含めてパケット・フォーマットはユーザが自由に定義できる.最大リンク数は2,000.

 AN-Pro 800は2002年第4四半期に出荷される予定.

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[写真10]アルチザネットワークスの「AN-Pro 800」(参考出展)
パソコン画面ではターミナルどうしの接続状況を確認している.

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