スマート・グリッドやクラウド・コンピューティングを支えるインフラ機器と測定器に注目 ―― Interop Tokyo 2011 レポート

北村 俊之

tag: 組み込み 電子回路

レポート 2011年6月17日

 2011年6月7日~10日,Interoperability(相互接続性)をテーマとした情報通信関連の専門イベント「Interop Tokyo 2011」が,幕張メッセ(千葉市美浜区)にて開催された(写真1).8日~10日に行われた展示会では,スマート・グリッド(次世代送電網)やセンサ・ネットワークへの接続を意識した製品が展示されていた.

写真1 会場の様子


 また,本イベントの併設企画として,Webテクノロジーやデザイン/ユーザ・インターフェース,Web業界やサービスなどについて議論し,場を共有するカンファレンス・イベント「Interweb 2011」が実施された.

 

 

●専任管理者不要,自動設定のネットワーク・スイッチ

 米国Cisco Systems社は,設定が簡単なネットワーク・スイッチ「Cisco Small Business 100シリーズ(SF100D-05-JP)」を展示した(写真2).本製品を使えば,ネットワークのセットアップを行うITスタッフが社内にいない小規模企業でも,すぐにオフィス・ネットワークを構築できる.ソフトウェアのインストールや設定は不要で,各スイッチ・ポートは最適な速度になるように自動設定されている.半二重/全二重モードでの動作も自動的に判断する.ケーブルの自動検出機能を備え,誤った種類のケーブルの使用を防止できる.帯域幅を大量に使用する動画もネットワーク上で実行可能.

写真2 Cisco Systems社の「SF100D-05-JP」


 性能を損なわずに高いエネルギー効率を得られるよう,電力消費量を最適化する設計となっている.ファンは搭載していない.

●水位や気象センサのデータをIPネットワークに取り込む

 アンリツネットワークスは,水位や気象などのデータ収集に使用する接点系センサをIPネットワークに取り込めるマルチインターフェース・コントローラ「EC2700シリーズ」を展示した(写真3).接点入力を16接点,接点出力を8接点,入出力を切り替えられる接点を8接点備える.また,LAN(10BASE-T/100BASE-TX)のほかCFカード・スロット,USB 2.0,SDカード・スロット,RS-232-Cなど多彩なインターフェースを備えている.音声伝送(集音/拡声)のためのマイクやスピーカ端子も備える.周囲温度は-10℃~60℃に対応.外形寸法は202mm×202mm×55mmと小さく,屋外に筐体を設置する監視・観測ネットワークにも適しているという.

写真3 アンリツネットワークスの「EC2700シリーズ」


 このほか,接点情報を閲覧・制御できるWebサーバ機能や,異常を知らせるメール通知機能,SNMP機能などを備える.監視用のネットワーク・カメラと連動して,カメラ映像と接点情報を同時に表示したり,大容量のメモリ・カードを装着して長時間にわたる情報の変化を蓄積したりすることも可能.

●重量3kg,屋外でも測定可能な音声品質測定器

 東陽テクニカは,英国Malden Electronics社が開発したMultiDSLA型のディジタル・スピーチ・レベル・アナライザ(音声品質測定器)「MultiDSLAシステム」を展示した(写真4).本製品は,PESQ(Perceptual Evaluation of Speech Quality)という方法を用いて,固定電話や携帯電話,IP電話,メディア・ゲートウェイなどの音声機器や,公衆交換電話網,VoIPネットワーク網の音声品質を評価できる.重さは3kgと軽量で,屋外での測定も容易.GPS機能を備えており,正確に時間同期をとることができる.さらに,LTE(Long Term Evolution)などの第4世代携帯電話の品質評価に対応するため,PESQの次の音声品質テスト技術であるPOLQA(Perceptual Objective Listening Quality Analysis)にも対応する予定.

写真4 英国Malden Electronics社の「MultiDSLAシステム」

 

●USBデータ通信端末で手軽にブロードバンド・ネットワークを構築

 住商情報システムヤマハは,LANの全10ポートをGビットEthernet(GbE)化した中小規模向けのVPNルータ「RTX1200」を展示した(写真5).本VPNルータはLANポートを三つ備えるが,そのうちの一つが8ポートのスイッチング・ハブとなっている.スループット値は最大1Gビット/s(双方向とも).VPN(IPsec)スループットは,最大200Mビット/s(双方向).USBポートにUSBデータ通信端末を接続することにより,有線回線未提供エリアや工事現場,臨時店舗などでも回線設置工事をせずにブロードバンド・ネットワークを構築できるようになる.

写真5 ヤマハの「RTX1200」

 

●スループット1.28Tbpsのデータ・センタ向けスイッチ

 ジュニパーネットワークスは,超低遅延を特長とするデータ・センタ・ファブリック・スイッチ「QFX3500」を展示した(写真6).本製品のスループットは1.28Tbps,スイッチング機能は960Mpps.1Uサイズのコンパクト筐体にSFP+/SFP(small form-factor pluggable)のデュアル・モード・ポートを48ポート,QSFP+(quad small form-factor pluggable plus)ポートを4ポート搭載している.データ・センタにおいてラック・サーバやブレード・サーバ,ストレージ・システム,スイッチなどのネットワーク接続デバイスに対し,レイヤ2/レイヤ3での接続が可能.

写真6 ジュニパーネットワークスの「QFX3500」


きたむら・としゆき

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