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国土交通省の「自律移動支援プロジェクト」実証実験で,ユビキタスIDセンターのコード体系を採用
ニュース 2005年2月15日
2005年2月15日,東海大学校友会館(東京都千代田区)にて,「第1回 自律移動支援に係る場所情報検討専門委員会」が開かれた.本委員会では,国土交通省が推進する「自律移動支援プロジェクト」の場所認識の技術について話し合いが行われた.自律支援プロジェクトは,場所そのものに識別番号を付与して,その場所にかかわる情報やサービスの提供が可能なインフラを作ることを目標としている.歩道や店舗などにIDタグを埋め込み,専用端末でそのデータを読み取って,進行方向や店の情報を文字や音声などで示すような使いかたを想定している.例えば,身体障害者の移動支援や観光地における案内などに利用できる.
こうしたインフラを実現するには,正確な場所情報が必要となる.この場所情報を得るために,本委員会では場所を認識するための個別の番号(場所コード)を付与する方法と,高精度な測量を行うための基準点を設置する方法を検討している.
場所コードの付与については,2005年4月から兵庫県神戸市で本プロジェクトの実証実験が実施される.この実証実験では,ユビキタスIDセンター(代表は東京大学大学院教授の坂村健氏)が策定しているIDタグ規格「ucode」が場所コードとして利用される.ucodeの基本コード長は128ビットで,必要に応じて128ビット単位で拡張できる.コード内に「コード識別子」を数ビットを割り当てることで,JANコードなどの既存のコード体系にも対応できるという.
基準点の設置については,国土交通省の国土地理院が検討している「インテリジェント基準点」と呼ばれるものがある.インテリジェント基準点とは,従来の三角点や水準点と異なり,IDタグを組み込んだ測量用の基準点である.神戸市では,2005年3月末までに100個のインテリジェント基準点を市内に設けるという.
また,本プロジェクトは,場所コードとインテリジェント基準点を連携させたシステムの構築についても今後検討していく予定.例えば,場所コードには識別番号だけを割り振り,必要な情報はネットワーク通信を介してサーバから取得する,あるいは場所コード自体にある程度の情報を持たせて,専用読み取り端末などで直接そのデータを取得するといった方法が検討されている.