プロセッサ最新テクノロジ2015 シリーズ5

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2015年11月24日

<プレゼントの締め切り 本日12/25 最終日>

読者プレゼント
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MCU機能とDSP機能を高いレベルでバランス良く統合した新世代Blackfin

MCUとDSPを高度に統合し, 高性能と低消費電力を両立DSP性能もさらに強力になった 新世代のBlackfinプロセッサ

  デジタル信号処理が得意なDSP(Digital Signal Processor)はオーディオ,ビデオ,通信,モータ制御などを支えてきた.初期のDSPは乗算に特化しており,汎用プロセッサのような処理には適していなかった.しかし,現在では汎用プロセッサやMCUの機能を取り入れ,さまざまな用途を1チップで実現している.今回は,MCU機能とDSP機能を高いレベルでバランス良く統合したBlackfinファミリーの最新プロセッサADSP-BF70xについてアナログ・デバイセズ株式会社の玉野,祖父江ご両氏にお話を司った.
執筆:宮崎 仁

   


 

玉野 恵哲 氏

アナログ・デバイセズ株式会社
リージョナル セールスグループ 

祖父江 達也 氏

アナログ・デバイセズ株式会社
リージョナル マーケティング& チャンネルグループ 

 

1.DSPの発展経緯

積和計算専用プロセッサ


 連続的なアナログ信号をサンプリングして,デジタル演算をリアルタイムに実行すれば,フィルタ処理ができることは早くから知られていた.ただし,汎用プロセッサは乗算が低速で,積和演算が苦手だった.

 そこで,ハードウェア乗算器を内蔵した専用プロセッサとしてDSPが作られた.世界最初のDSPが登場したのは1980年で,16×16ビットのハードウ ェア乗算器を内蔵し,当時の代表的な汎用プロセッサの8086に対して乗算速度は100倍以上,デジタル信号処理演算全体でも数10倍の高速処理を可能にした.

大規模化で汎用プロセッサ機能を取り込む


  80年代前半には多くのメーカがDSPに参入し,アナログ・デバイセズ株式会社(以下アナログ・デバイセズ)ではADSP-2100を発表した.90年代にはCMOSプロセスの微細化が進み,大規模,高速で低消費電力のLSIが作られた.新世代のDSPが次々に登場し,応用分野も音声から静止画,動画,無線通信のベースバンド処理,モータ制御などに広がっていき,民生用から産業用まで幅広く用いられた.

 初期のDSPは演算命令に特化しており,コーディングも特別だったが,汎用の命令セットが追加されてC言語で容易に開発できるようにな った.また大規模な演算回路を内蔵できるため,32ビ ット浮動小数点DSPも増えてきた.浮動小数点演算は,ハードウェアの負担は大きいが,ソフトウェア的には汎用プロセッサと互換性が高く開発しやすい.

 一方,固定小数点演算は,整数演算用の演算回路で実行できるのでハードウェアの負担は小さい.そのためDSPのハードウェアを簡素化し,小型・低消費電力で高速演算を実現するという観点から広く普及した.

 

2.Blackfinファミリーと 新世代のBlackfin ADSP-BF70x


  アナログ・デバイセズでは1991年に32ビット浮動小数点DSPのSHARCファミリーを発表し,2000年にはMCU機能と16ビット固定小数点DSP機能を融合したBlackfinファミリーを発表した.Blackfinは,SHARCの演算性能と,RISCプロセッサのコントローラ性能を備えた新しいアーキテクチャを作るためインテルと共同で開発された.携帯電話や携帯情報機器,マルチメディア機器,産業用機器などに広く用いられた.

 その後BlackfinはADSP-BF5xxファミリーからADSP-BF60xファミリーに発展し,2014年には新しいADSP-BF70xファミリーが登場した(図1)


図1 Blackfinファミリーのロードマップ

 

2.Blackfinファミリーと 新世代のBlackfin ADSP-BF70x

機能はバランス重視のBlackfinファミリー


  Blackfinは,MCU機能とDSP機能を統合し,システム制御からデジタル信号処理までを1チップで実行できる.また命令とデータを分離したハーバード・アーキテクチャ,演算処理とデータ転送の並列化やDMA転送の効率化,命令遅延の考慮が不要なインタロックなどの特徴をもち,低いクロック周波数と消費電力でリアルタイムの演算処理を可能にした.

 一方汎用プロセッサと同等のメモリ・インターフェースや充実したペリフェラル機能をもち,システム性能も高い.たとえば,SDカードI/F,USB(OTG対応),各種シリアルI/F,フラッシュI/F,SDRAM I/F,システム制御,音声処理などの機能があるので1チップで,ICレコーダや携帯音楽プレーヤなどを効率良く実現できる.  

 BF5xxファミリーはシングル・コアを中心としたベーシックなファミリーだが,ハイエンドのBF561はデュアル・コアとなっている.各シリーズの中にイーサネット内蔵デバイス,USB搭載デバイスなどが用意されている.BF60xファミリーはBlackfinコアを2個内蔵したデュアル・コアで,高性能,高信頼性を必要とする産業・車載イメージング向けの上位ファミリーとなっている(図1)

 

新世代Blackfin ADSP-BF70xは新コアで演算が高速化&ペリフェラルが充実


  ADSP-BF70xは,新しいBlackfin+コアを搭載し,シングル・コアで高性能を実現するとともに,低消費電力と低コストを可能にしている.また,大容量SRAMやROMの搭載,ペリフェラルやセキュリティなど周辺機能も強化された(図2)


図2 ADSP-BF70xのブロック図

 

 Blackfin+コアは,32ビット×32ビットの乗算と積和演算をサポートし,演算性能が大幅に向上した.デ ュアル16ビット×16ビットとして使用可能で,16ビ ット複素数乗算も高速化された.従来のBlackfinコアとの互換性を保ちながら,演算命令も拡張されている.また,パイプライン上の実行効率を高め,ダイナミック分岐予測でペナルティを削減したことにより,一般命令の実行も高速化された.

 コア内蔵のL1キャッシュに加え,BF70xはL2メモリとして最大1MバイトのSRAMと512KバイトのROMを搭載している.ROMにデバイス・ドライバ,ランタイム・ライブラリなどを内蔵し,コード・サイズの削減や省電力化の効果も得られる.

 

セキュリティも強化&低消費電力を実現


  セキュリティ機能も充実し,メモリはパリティとECC,外部I/FはCRC採用で信頼性を高めた.さらに,外付けフラッシュからコードを読み込む時にリアルタイムで暗号化/復号化を行うオンチップ暗号化アクセラレータを搭載し,セキュア・ブートを実現した.また消費電力を動作時,スリープ時ともに一段と削減し,デバイス全体で,400MHz動作時に95mWときわめて低消費電力を実現した.

 

こんな機器に最適です


  以上のような強化により,BF70xは小エリアの画像処理やオーディオ用音声処理に最適な性能を持ち,産業・車載機器に最適な信頼性と,携帯機器に最適な低消費電力の両立を実現した.想定される機器として,携帯型バーコード・リーダ,指紋認証,CMOSカメラなどの産業用イメージング機器,エフェクト機器や携帯型レコーダなどのプロ用オーディオ機器,患者モニタリングなどの医療機器,車載オーディオ機器などが考えられる.

 

3.Blackfin ADSP-BF70xの開発環境


 また開発環境も充実させている.汎用開発ボードのEZKITに加えて,低価格開発ボードのADZS-BF706-EZMINI(写真1)や,CMOSカメラ搭載ボード(写真2),低価格JTAGエミュレータ(写真3)などを提供し,すぐに開発が始められる.2012年にリリースされた統合開発環境のCCES(CrossCore Embedded Studio)を使えば,従来のBlackfinやSHARCと同様に開発ができる.


写真1 低価格開発ボードADZS-BF706-EZMINI

 

 


写真2 CMOSカメラ搭載のBLIP2(Blackfin Low Power  Imaging Platform)

 


写真3 JTAGエミュレータ ICE1000

 

 

 ------------ 第5話 終了 ------------

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インターフェース誌 巻頭企画プロセッサ・メーカにテクノロジ・シリーズの
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アナログ・デバイセズ株式会社  
http://www.analog.com/jp/index.html
〒105-6891 東京都港区海岸1-16-1 ニューピア竹芝サウスタワービル TEL:03-5402-8200


 

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