本気の災害対策装置からスマホを活用した工事現場システム,3Gデータ伝送までが一堂に ―― 危機管理産業展(RISCON TOKYO)2013

磯野 康孝

tag: 組み込み 電子回路

レポート 2013年11月 1日

●これで災害現場から脱出! 避難用フードの決定版

 救命用特殊装備品などを開発する米国Elmridge Protection Products社は,最新型の防塵・防毒フード「iEvac SMOKE/FIRE HOOD(アイ・イーバック・スモーク・フード)」を展示した(写真11).

 

写真11 米Elmridge Protection Products社の「iEvac SMOKE/FIRE HOOD」

 

 

 本製品は,高層ビル火災や工場火災といった現場で発生する有毒なガス・煙から,被災者を保護するための避難用フードである.頭部をすっぽりおおうようにかぶるタイプで,マスクではなくフードと呼称している.全米防火協会や国立労働安全衛生研究所など,米国公的機関の安全性試験をことごとくクリアして承認された唯一の製品であるという.具体的には,一酸化炭素や硫化水素,二酸化硫黄,催涙ガスといった有毒ガスの高濃度試験,微粒子試験をクリアしているとのことだ.

 また,空気中の0.1~0.3μmの油性微粒子を99.97パーセント除去する高性能HEPA P100フィルターを内蔵しており,サリンや炭疽菌,天然痘,放射性粒子などにも対応できるとうたっている.

 説明員によると,本展示会では事前に想定していた企業関係者より消防関係者からの関心が高かったらしい.携行しやすいというところから,災害現場から被災者を搬送するときに装着させる防護マスクとして使えないかということだったようだ.


●津波のスペシャリストが開発した津波避難用救命カプセル

 ハイテックは,アルミニウム製の津波シェルタ「サバイバルカプセル」を展示した(写真12).

 

写真12 ハイテックの「サバイバルカプセル」

 

 

 本製品は,大人2人が搭乗し,津波の襲来をやり過ごして生還するためのものである.津波研究の世界的権威が強度設定などを監修し,実際の設計は航空宇宙業界のエンジニアリング会社が担当したという.本製品は,航空機にも使われている直径38mmのアルミニウム製パイプによって組まれたフレームと,厚さ6.4mmのアルミニウム製の外殻からなる.強大な津波の衝撃にも耐えることができるという.

 カプセル内に配置された乗員用のシートは,4点式シートベルトが付いたバケット型シートになっている.内壁には断熱材が貼られているため,火災などによる外部からの熱を遮断できるという(写真13).

 

写真13 4点式シートベルト付きバケット型シート
アルミニウム製パイプによるフレーム構造が見える.また一面に断熱材が貼られている.

 

 

 本製品は水に浮く構造となっており,津波襲来後,水上で救助を待つことになる.上部に2カ所の換気口があるが,津波が激しく密閉する時間が長くなる場合のために,オプションで最大2本の酸素ボンベを搭載することもできる.底部には漂流防止のための係留索装着装置がある.

 東日本大震災後,津波シェルタに関連する製品がいくつも開発されてきた.本製品もその流れにあるものだが,従来品の多くがFRP(繊維強化プラスチック)素材であるのに対し,本製品はアルミニウム製であり,価格も250万円と高価である.一般家庭用というよりは,ぎりぎりまで現場に残り,避難する時間的余裕が少ない行政の災害対策部署などでの利用がイメージできる.外形寸法は約1383mm(内径1370mm).重さは約204kg.

 

いその・やすたか

 

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