本気の災害対策装置からスマホを活用した工事現場システム，3Gデータ伝送までが一堂に ―― 危機管理産業展（RISCON TOKYO）2013

●スマホを使って作業現場の情報をリアルタイムで共有

　谷沢製作所は，遠隔地にある作業現場と管理者の情報共有を円滑に行うための小型無線通信カメラ「Uメイト」を展示した（写真6）．

写真6　ヘルメットに装着された「Uメイト」本体

　本装置は，同社の現場向けコミュニケーション・ツール「Uシリーズ」の最新版にあたる．Uシリーズは，遠隔地にいる管理者が作業現場の状況を映像と音声で把握することで情報を共有し，作業の円滑化や新人教育などの現場支援，不測の事故への迅速対応といった安全支援，工程確認や施工チェックを含む現場管理などを目指して開発されている．本装置は，通信機能付きヘルメット「Uメット」，カメラとヘッドセット，腰に装着する装置本体に分けた「U-BOX」の後継として開発された．

　本装置をヘルメットに装着することで，作業者目線の映像を撮ることができる．映像の伝送は手持ちのスマートフォンで行う．スマートフォンとの接続はBluetooth経由で行う．さらに，ヘッド・セットと組み合わせると，ハンズ・フリー通話ができるようになる．スマートフォンには専用アプリをインストールするだけで，リアルタイム映像の配信が可能になる．対応しているスマートフォンは，現状でVer.4.0以上のAndroid搭載の端末のみ．

　映像を受ける管理者側の環境は，管理サイトを月額料金で利用する「クラウド・モデル」，または専用アプリケーションをインストールしたパソコン（サーバ）を導入する「サーバ・モデル」を選択できる．

　本装置の着用者は，最大8人まで同時接続できる．グループ通話（同時通話，管理者も含む）も可能だ．管理者も，管理サイトを通じて着用者と会話できる（写真7）．

写真7　管理サイトの画面
端末情報や端末一覧などが見える．

　本装置は，本体に最大で72時間分の動画を蓄積することが可能だ．また，スマートフォンのGPS機能を使って着用者の位置情報を検出し，管理画面上の地図に着用者の位置を表示することもできる．

　外形寸法は，57mm×91mm×26mm．重さは110g．IPX5相当の防水機能を装備している．

●放射線の測定情報を自動記録．iPhoneに接続して使う小型個人用線量計

　ポリマスターパシフィックは，iPhone，iPod用の個人用線量計「POLIMASTER II」を展示した（写真8）．本製品は，iPhone，iPodに装着して使う個人用線量計で，積算線量および空間線量率の測定をこれ1台で行うことができる．福島原発の事故以来，放射線に関心のある消費者は依然として多い．

写真8　ポリマスターパシフィックの「POLIMASTER II」

　操作は実に簡単で，無料の専用アプリをインストールしたiPhoneまたはiPodに本製品を装着して，アプリを起動するだけである（写真9）．

写真9　専用アプリを使って積算線量を表示させたところ

　放射線の測定情報とGPS情報とを連携させ，測定情報をマッピングした放射線量地図を自動で作成することもできる（写真10）．一定以上の放射線を検出した場合には，音や光で警告する機能も備える．そのほか，放射線状況のレポート作成や，測定記録のグループ化，SNS（Twitter，Facebookなど）との連携，CSVファイルでのデータ出力なども可能だ．

写真10　移動した経路と測定された場所での線量が地図上に自動記録される

　本製品は，iPhone，iPodに接続しなくても測定器単体として利用できる．分単位で積算線量，空間線量率を内蔵メモリに記録し（最大500ポイント），線量や線量率が一定値を超えると本体LEDによる警告を行う．内蔵バッテリによる連続動作時間は2,200時間．

　本製品の放射線検出器には，新たに開発したエネルギー補償タイプのGM管（ガイガー＝ミュラー計数管）を採用している．積算線量の測定表示範囲は1.0μSv～10.0Sv，線量率の測定表示範囲は0.01μSv/h～13mSv/h，誤差は20％以下である．外形寸法は59mm×45mm×15mm．重さは30g．