ディジタル技術が電源制御やモータ制御を変えていく ―― TECHNO-FRONTIER 2013
●モータをディジタル技術で効率良く制御
ディジタル技術を早くから取り込んできたアナログ技術の代表は,モータ制御やインバータ制御などだろう.これらの制御技術は,ディジタル技術の導入による効率の向上(消費電力の削減)とコストの低減が早くから進められてきた.モータ制御機能やインバータ制御機能などを備えたマイクロコントローラ(マイコン)は現在ではごく普通になっており,設計作業の負担を減らす取り組みが活発である.本イベントでも,その一端をうかがうことができた.
日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は,マイコンで3相モータを制御するシステムの設計作業を軽減する仕組み「InstaSPIN」を展示していた(写真6).展示ブースには扇風機の実物を置き,「InstaSPIN」対応のモータ制御システム開発ボード「DRV8312-69M-KIT」によって扇風機のモータを制御する様子を実際に見せていた(写真7).
写真6 マイコンで3相モータを制御するシステム「InstaSPIN」の説明パネル

写真7 「InstaSPIN」に対応したモータ制御システム開発ボードで扇風機のモータを制御している様子

東芝 セミコンダクター&ストレージ社も,モータ制御のソリューションを展示していた.車載モータのリファレンス設計ユニットと,モータ制御のパラメータを自動検出するシステムである.
車載モータのリファレンス設計ユニットは,モータ駆動基板やシロッコファンなどで構成される(写真8).シロッコファンを正弦波で駆動することを特徴とする.矩形波でモータを駆動する従来型の基板も搭載することで,正弦波駆動と矩形波駆動の比較を容易にした.
写真8 車載モータのリファレンス設計ユニット
左手前がリファレンス設計ユニット.駆動基板やシロッコファンなどで構成される.

モータ制御のパラメータを自動検出するシステムは,マイコン搭載インバータ制御基板とブラシレスDCモータ,パソコンで構成している(写真9).ブラシレスDCモータの抵抗値とインダクタンス値を自動測定するほか,モータ制御に必要なPIゲインを自動検出できる.
写真9 モータ制御のパラメータを自動検出するシステム

●センサを内蔵する小型無線通信モジュール
アナログ技術以外の展示では,NECトーキンがセンサを内蔵する小型無線通信モジュールを参考出品していたのが目を引いた(写真10).出品したモジュールは,振動センサと赤外線センサのほか,センサが収集したデータの特徴量を検出してデータを圧縮する機能,無線データ通信の制御ソフトウェアなどを搭載する.展示ブースでは,赤外線センサと振動センサの動作を来場者が体験できるデモンストレーションを実施していた.
写真10 振動センサと赤外線センサを内蔵する無線通信モジュールとその説明パネル

ふくだ・あきら
フリーランス・テクノロジ・ライタ
http://d.hatena.ne.jp/affiliate_with/
tag: TECHNO-FRONTIER, 制御, 電源