日本の超多層プリント基板がギネス世界記録に認定 ―― JPCA Show 2013
プリント基板技術に関する総合展示会「JPCA Show 2013(第43回国際電子回路産業展)」が2013年6月5日~7日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催された(写真1).出展社数は434社(前回は477社),出展小間数は1,320小間(前回は1,522小間)で,いずれも前回より減少した.来場者数(登録数)は3万4,716名で,前回の3万4,605名とほぼ同じだった.会場には,129層の超多層プリント基板や,プリント配線パターンで回路部品の機能を実現した基板などが展示されていた.
●129層の超多層プリント基板を展示
プリント基板の展示で最も注目を集めていたのは,デンソーの一括積層プレスで生産する多層プリント基板製造技術「PALAP(Patterned Prepreg Lay-up Process)」だろう(写真2).
PALAPは熱可塑性樹脂を絶縁層にして金属ペーストでビアを埋め込むことで,100層を超える多層のIVH(Interstitial Via Hole)プリント基板を一括積層プレスで製造する.展示ブースでは,129層の超多層プリント基板を展示していた(写真3).これは基板検査装置の治具基板である(写真4).従来は治具の配線をワイヤ・ハーネスで形成していたので,治具が大きく重く,かさばっていた.これを129層基板にまとめることで,治具が小さく軽く,薄くなった.
開発した129層基板は層数の多さでギネス世界記録の認定を受けており,その認定証も同社のブースに展示されていた(写真5).
PALAPはまた,部品内蔵基板や特定の機能を備えた基板などに応用しやすい.通常のプリント基板は熱硬化性樹脂を絶縁層に使うので,電子部品や電子材料を埋め込む複合基板を作るには工夫が必要になる.これに対してPALAPは熱可塑性樹脂を使うので,電子部品や電子材料などを埋め込みやすい.例えばカーナビ向けに,279個のチップ部品を内蔵した11層基板を実用化したことがあるという.今後は,熱電モジュールを内蔵した基板や,パワーICとヒート・シンクを内蔵した基板などへの展開が考えられる,としていた(写真6).
●プリント配線パターンで回路機能を実現
高密度実装基板の開発では,以前から部品内蔵基板が注目を集めている.今回は,プリント配線パターンで回路部品の機能を実現した基板が興味を引いた.沖プリンテッドサーキットが展示していた(写真7).電子部品を埋め込む場合に比べ,低いコストで回路部品の機能をプリント基板に付与できる.
ブースでは,インダクタとキャパシタによって帯域阻止フィルタを形成したテスト基板の実物を展示していた(写真8).2GHz~3GHzの信号帯域を阻止する.従来のプリント配線パターンに比べて小型化したという.