エンジニアの「外に出てみた」体験記(1) ―― Web系やエンタープライズ系など,さまざまな分野のエンジニアといっしょに考える

山田 謙輔

tag: 組み込み

コラム 2013年2月 8日

しごとは忙しいし,プライベートの時間も確保したい.「社外でスキルアップしよう!」と言われても,なかなかそんな機会を持てないでいる方も多いだろう.しかし,外に出てみることには,想像以上にさまざまなメリットがある.また,自分がワークショップやカンファレンスなどの運営側に回ってみると得るものがさらに増えることを,体験した人たちは知っている.ここでは,そんなエンジニアの「初めて外に出てみた」ときの体験を,連載コラムとしてお届けする.(編集部)

 筆者は入社11年目の組み込みソフトウェア技術者です.主に通信機器関連のソフトウェア開発に携わっており,現在は,主にOSやドライバをハードウェア上で動作させるためのカスタマイズを行うしごとをしています.まずは,5年前の,筆者の社外活動のきっかけとなった,若手技術者のためのソフトウェア・テスト・ワークショップ合宿「WACATE(Workshop for Accelerating CApable Testing Engineers)」との出会いからお話ししましょう.

 

●知人の誘いに思い切って乗ってみた

 仕事を早めに切り上げて,会社の同期と飲みに行ったある日のことです.「若手向けのソフトウェア・テストの勉強会をやることになったから,君も参加したらいいんじゃない?」と誘われました.彼は,以前からいろいろな社外活動にかかわっており,筆者も酒の肴に話を聞いていました.ちょうど,以前の業務でバグを出してしまい,痛い経験をした後だったので,ソフトウェア・テストについても勉強しなければいけないな,と感じていたところでした.2万円という参加費注1は少し高いかなと思いましたが,開催がボーナス時期ということもあり,出せないこともなかったので,思い切って参加を決めました.

注1:WACATEは1泊2日の合宿であり,この参加費は宿泊費込みである.

 第1回目のWACATE(WACATE 2007)は,上野の水月ホテル鴎外荘で開催されました(写真1).ほとんどの参加者がTEF(Testing Engineer's Forum;ソフトウェアテスト技術者交流会)のメーリング・リストを通じてWACATEを知り,参加していたと思いますが,当時,筆者はTEFの存在も知らなかったので,ある意味浮いた存在だったのかもしれません.

 

写真1 WACATE 2007の様子
WACATE 2007は,2007年12月15日~16日,水月ホテル鴎外荘(東京都台東区)にて開催された(レポート記事はこちらを参照).

 

 

 そこそこ仕事もこなせるようになっていた時期だったのですが,一緒にワークやディスカッションを行った方からアドバイスをもらったり,観点の違いを知ることができて,自分の視野の狭さに気づきました.まだまだ勉強が足りないなと感じました.

 同室になった参加者に当時困っていたことを相談したり,経験談を聞かせてもらったりと,夜遅くまで話していたことを覚えています.その方とは,今も仲良くさせていただいています.

 WACATEはその後,年2回のペースで開催されていますが,筆者は欠かさず毎回,参加しています.WACATEは,テーマがソフトウェア・テストということで,組み込み系,Web系,エンタープライズ系などのさまざまな分野から,テスタ,品質保証,開発,SEPG(Software Engineering Process Group)など職場での立ち位置の違う方が参加しており,普段接する機会の少ない方とも話ができます.前夜祭や後夜祭,予習会や復習会,さらに復習会の場で出た話題からスピンオフの勉強会ができたりと,さまざまな交流が盛んなところも特徴だと思います.

 

●会場設営くらいなら...と実行委員に

 その後,筆者は,2010年から「派生開発推進協議会(AFFORDD)」に入会しました.AFFORDDでは,T3研究会(XDDP入門)に所属しており,XDDP(eXtreme Derivative Development Process)のチュートリアル資料作成に向けて活動しています.さらに2011年に開催された「派生開発カンファレンス2011」からは,会場運営委員としてカンファレンス実行委員会に参加しています.

 筆者が携わっている開発は主に派生開発なので,派生開発に特化した開発プロセスとして注目されてきていたXDDPに興味を持っていました.また,「ソフトウェア品質シンポジウム2009(SQiPシンポジウム2009)」のハーフディ・チュートリアルや「WACATE 2009 冬」のクロージング・セッションで,XDDPの考案者である清水 吉男さんのお話を聴く機会があったのも,入会の後押しになったと思います.

 T3研究会の活動としては,XDDP導入のきっかけとなる資料を作成しています.昨年の派生開発カンファレンス2012では,ポスタ・セッションで成果物の掲示を行いました.いただいた意見,感想などをもとにブラッシュアップしているところです.

 カンファレンス実行委員会については,会員向けに募集があった際に,当日の会場設営などを行う会場運営委員ならできるかなと思い,参加を決めました.カンファレンスの裏方はどうなっているのかな,という興味もありました.参加してみて,カンファレンスまで数カ月をかけて準備していく過程を知ることができました.実行委員にはセミナに登壇されている方もおり,人脈が広がったことも良かったと思います.なお,今年で4回目となる派生開発カンファレンス2013は,2013年5月24日(金)に横浜市開港記念会館で開催されます.興味がある方は,参加していただけると嬉しいです.

 このほか,「(ソフトウェア品質技術者のための)データ分析勉強会」や「『ソフトウェア病理学』読書会」,前述した「ソフトウェア品質シンポジウム」,「ソフトウェアテストシンポジウム 東京(JaSST Tokyo)」にも,継続的に参加しています.

 

●勉強会とは違った気づきが得られる懇親会

 近ごろは,勉強会などの情報が,TwitterなどのSNSやイベント告知サイトで比較的簡単に得られます.社外の人とディスカッション/会話すると,自社や関連会社で持っている技術や知見について社外の人から教わったり,普段何気なくやっていることが社外の人には有益な情報であることに気付いたりします.人脈が広がり,仲間ができることで,モチベーションが上がることもあると思います.

 個人的には,懇親会まで参加することをお勧めします.勉強会とはまた違ったキーワードや気づきを得ることができます.

 

やまだ・けんすけ

 

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