高感度撮影や高速撮影,近赤外撮影など,多様化する産業用カメラの機能に注目 ―― 国際画像機器展2012
2012年12月5日~7日の3日間,パシフィコ横浜(横浜市西区)にて,画像処理機器やマシン・ビジョン関連機器の総合展示会「国際画像機器展2012」が開催された(写真1).画像処理は,製造現場における外観検査や位置決め,寸法測定,文字やコードの読み取りなど,人間の目の代替となる技術として利用されている.
本展示会は今回で34回目の開催となる.主催は日本画像・計測協議会.同時開催は,3Dやディジタル・サイネージ,AR(Augmented Reality)/VR(Virtual Reality)のコンテンツ,および技術を紹介する「ビジュアルメディアExpo 2012」,「ViEW2012 ビジョン技術の実利用ワークショップ」,「第22回三次元工学シンポジウム」である.来場者数は17,448人.
●最低被写体照度が0.3 lxと高感度な産業用ハイビジョン・カメラを展示
日立国際電気は,産業用の単板ハイビジョン・カメラ「KP-HD20A」を展示した(写真2).本カメラは,従来のテレビ信号(NTSC)用の同軸ケーブル(75Ω)を使用し,高画質映像を非圧縮で伝送する.5C-2Vの同軸ケーブルにおける伝送距離は約100m.産業用機器の検査装置や医療用の監視装置などに利用できる.
最低被写体照度は0.3 lx(F1.2,AGC MAX).感度が高いので,暗い場所など,これまで見えにくかった設置環境の監視に利用できる.非圧縮のHD-SDI(High Definition-Serial Digital Interface)伝送に対応し,遅延時間は17ms以内.撮像素子は1/3インチ型MOSイメージ・センサ,画素数は210万.外形寸法は44mm×44mm×59mm.
また,本カメラに対応した中継ユニット「MU-HD101」を併せて展示した.HD-SDI信号のスルー出力,DVI-D出力,アナログRGB出力,コンポジット出力を備えている.同軸ケーブル経由で,中継ユニットからカメラへ電源を供給することも可能.
●小型カメラにペルチェ素子や強制空冷を組み込んで高速撮影
ノビテックは,タッチパネル付き液晶モニタとバッテリを搭載した米国Vision Research社製の小型高速撮影カメラ「Phantom Miro LC310」を展示した(写真3).専用のCMOSセンサを搭載し,HD画質の高速撮影を実現している.撮像素子の画素数は1,280ピクセル×800ピクセル.撮影速度は最大66万フレーム/s,フルフレーム時は3,260フレーム/s.感度は,モノクロ時がISO 13,000,カラー時がISO 3900.ペルチェ素子による冷却と強制空冷を併用することで,撮像素子の温度を一定に保っている.制御用ソフトウェア「PCC」からカメラ温度やセンサ温度の管理が可能.
カメラ本体にバッテリと大容量のフラッシュ・メモリを搭載しており,パソコンがなくても撮影から画像の保存までを行える.外形寸法は190mm×98mm×100mm,重量は1.4kg.標準バッテリ(BP-U30)による駆動時間は約45分.オプションで約90分駆動できる大容量バッテリ(BP-U60)も用意する.
液晶モニタのサイズは4インチ,表示画素数は800ピクセル×480ピクセル.取り外し可能なフラッシュ・メモリ(シネフラッシュ)を搭載する.メモリ容量は標準60Gバイト.オプションで120Gバイトと240Gバイトのメモリも用意する.1分間で約2.8Gバイトのデータを保存できる.カメラの内部メモリを分割して,撮影しながらフラッシュ・メモリに画像を保存することも可能.
●フルフレームで最高30,000フレーム/sの高速撮影を実現
フォトロンは,高速撮影カメラ「FASTCAM SA8」を展示した(写真4).撮影速度が最大30,000フレーム/sの「30Kモデル」と,最大15,000フレーム/sの「15Kモデル」の2機種を用意する.30Kモデルの場合,フルフレーム時(1280ピクセル×1024ピクセル)の撮影速度は最大3,500フレーム/s.
独自開発のCMOSイメージ・センサを搭載しており,高画質と高感度を実現しているという.パソコン用インターフェースとして2系統のギガビットEthernetポートを装備する.例えば一方のポートに不具合が発生しても,もう一方のポートから撮影データを転送できる.衝突安全試験向けオプションとして,メモリ・バックアップ用バッテリ,遠隔制御レンズ,衝突安全試験用制御ソフトウェアなどを用意する.複数台カメラの同時制御にも対応する.
外形寸法は151mm×102mm×195mm,重量は3.9kg.レンズ・マウント形式は,Fマウント,GタイプFマウント,Cマウントに対応する.モノクロの場合,撮像素子からの画像情報を12ビットまたは8ビットでA-D変換する.カラーの場合は32ビットまたは24ビットでA-D変換する.ゲイン制御については,カメラにハードウェアLUT(Lookup Tabler)を搭載しており,ソフトウェアから制御可能.電子シャッタのシャッタ速度は10μs.記録媒体は4Gバイトまたは8GバイトのICメモリ.