高感度撮影や高速撮影,近赤外撮影など,多様化する産業用カメラの機能に注目 ―― 国際画像機器展2012
●近赤外領域の感度や均一性に優れたカメラを展示
デルフトハイテックは,900nm~1700nmの近赤外領域に感度があるドイツALLIED Vision VDS Vosskuhler社製カメラ「NIR-300」を展示した(写真5).近赤外領域の感度や均一性に優れ,強い入力光に対してダメージを受けにくいセンサとして広く採用されているという.
撮像素子はInGaAsイメージ・センサ,解像度は320ピクセル×256ピクセル.撮影速度は50フレーム/s.連続取り込みに加えて,全画素同時露光が行える.オプションとして,本カメラに組み込み可能なペルチェ素子による冷却機構を用意する.これにより,長時間露光でも高品質の画像を取得できるという.映像の出力インターフェースはCamera LinkまたはギガビットEthernet.
●画像ボードが多彩な産業用カメラ・インターフェースを搭載
アバールデータは,COM Express準拠の画像入力処理キャリア・ボード「ASB-1300」を展示した(写真6).基板サイズ(フォーム・ファクタ)はMini-ITX規格.カメラ用インターフェースとして,Power over Camera Link(PoCL)を2チャネル,ギガビットEthernet(1000BASE-T)を2ポート,USBを4ポート,アナログVGAを1ポート備えている.
高速撮影カメラに対応するため,同社が独自に開発した光ファイバ・コネクタ「Opt-C:Link(オプト・シー・リンク)」を2チャネル搭載する.100m超の長距離接続や並列処理を実現する画像データの分配路として利用できる.また,画像入力制御用GPIOを1チャネル,フォトアイソレーションDIO(入力16点,出力16点)を1チャネル,PCI Express(16レーン)拡張スロットを1スロット搭載する.
Camera Linkのチャネル数やコンフィグレーション(Base,Medium,Full),光ファイバ・コネクタの有無などが異なる5機種を用意する.米国Intel社のCore i7/i5を搭載したCOM Expressモジュールを装着して利用する.
●2色成形の造形物を作れる3Dプリンタを展示
日本バイナリーは同時開催のビジュアルメディアExpo 2012の会場で,パーソナル3Dプリンタ「MakerBot Replicator」を展示した(写真7).着色済みのプラスチック素材を噴出口から出力して造形する.プラスチック素材の噴出口は2口.同時に2色のプラスチックを利用して,一度の出力で2色成形の造形物を作成できる.例えば片方に水に溶ける材質を使い,完成後にその部分だけ水に溶かして,通常では作れない形状を作成することも可能.ビルド容積は225mm×145mm×150mm(パン約1斤分).
液晶パネルとゲーム型のコントロール・パッドを備えている.ビルドの状態や監視情報の表示,装置の制御をパソコンを介さずに行える.SDカード・スロットを利用して作成したいモデルを転送し,コントロール・パッドからビルドの指示を行える.
外形寸法は320mm×467mm×381mm,重量は約14.5kg.ナチュラル(ホワイト)とブラックのABS樹脂がそれぞれ1kgずつ付属する.このほか,34色のABS樹脂,5色のPLA材料,水溶性材料を用意する.
きたむら・としゆき