距離計測からロボット・ハンド制御,ラジコン空撮まで,3D情報を取り扱うアプリケーションが続々 ―― 第20回 3D&バーチャル リアリティ展(IVR)

北村 俊之

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レポート 2012年6月27日

 2012年6月20日~6月22日,東京ビッグサイト(東京都江東区)にて,3Dグラフィックス技術や仮想現実技術,高精細の映像技術にかかわる専門展示会「第20回 3D&バーチャル リアリティ展(IVR)」が開催された(写真1).会場では多くの出展社が「新製品体験コーナ」を設けており,直接製品に触れて実際の動作や操作性を体験できた.展示会場には,製品カテゴリごとに,「次世代映像・放送技術」,「3D地図・GIS」,「3Dディスプレイ」,「3D CG」,「3次元デジタイザ」の五つの特設エリアが設置されていた.

 

写真1 会場受付の様子

 

 

 本展示会は,「日本ものづくりワールド 2012」という総合イベントの一つと位置づけられている.同時開催は「第23回 設計・製造ソリューション展(DMS) 」,「第16回 機械要素技術展(M-Tech)」,「第3回 医療機器 開発・製造展(MEDIX)」.主催はリード エグジビジョン ジャパン.「日本 ものづくり ワールド 2012」全体の出展社数は1,850社だった.

 

●レーザ計測で2D/3Dデータ作成を効率化

 東芝プラントシステム / 極東貿易は「3Dレーザー計測サービス」を紹介した(写真2).本サービスは,対象物の3Dデータ(点群データ)をドイツZoller + Frohlich社製のレーザ・スキャナで採取し,顧客の要求に応じて2D/3Dディジタル・データを作成・提供するというものである.機器搬出入時の干渉チェック,配管・改造工事,機構系の設計検証,高所調査などに利用できる.

 

写真2 東芝プラントシステム / 極東貿易による「3Dレーザ計測サービス」のデモンストレーション

 

 

 従来の手法では,計測からデータの作成まで約2カ月かかっていたが,本サービスを利用すると20日程度でデータを作成できるという.採取した点群データは,東芝プラントシステムが米国CSA社と共同開発した3D画像ビューワ「PanoMap」用のデータや3D CADデータ,2D図面,3Dポリゴン・データ,スプール図などに変換して提供する.PanoMapを利用すると,3D画像の中の実際の距離を測定したり,360°パノラマ画像を表示したりできる.

 

●光の移動速度を利用して距離を計測,外乱光の影響を受けにくい

 伊藤忠テクノソリューションズ / オプテックスは,3D距離計測カメラ「ZC-1000シリーズ」を展示した(写真3).約2万ポイントの距離を最速60フレーム/sで計測できる.障害物認識や形状認識,侵入者の位置特定,追跡システム,自動ドア用センサなどに利用可能.

 

写真3 伊藤忠テクノソリューションズ/オプテックスの「ZC-1000」シリーズ

 

 

 本カメラは,旧Canesta社(現Microsoft社)の3D距離画像センサとオプテックスの変調光源,およびノイズ除去技術を組み合わせて実現した.内蔵するCMOS画像センサの各画素について,発光時と受光時の位相のわずかなズレを検出し,対象物の距離を計算する.光の移動速度を利用するため,外乱光や照明条件の影響を受けにくいという.

 同じCMOS画像センサから対象物の赤外画像を出力したり,立体的なカラー距離画像を生成したりすることも可能.距離計測の計算はカメラ側で行い,パソコンには距離画像をバイナリ・データとして転送する.標準タイプの「ZC-1070U」と狭角タイプの「ZC-1050U」の2機種を用意する.

 

●Kinectのモーション・キャプチャ機能を利用してVRを実現

 旭エレクトロニクスは,多数のマーカを装着することなく,仮想空間内のアバタが被験者の動作を模擬するシミュレーション・システム「VirDSEヒューマン」のデモンストレーションを行った(写真4).米国Microsoft社の光学式モーション・トラッキング・システム「Kinect」と高精度3次元位置計測センサを組み合わせて実現した.

 

写真4 旭エレクトロニクスの「VirDSEヒューマン」

 

 

 被験者の動きに連動してアバタが動作するので,さまざまな角度や視点から作業の検証を行える.任意の視点で停止したり,スナップショット撮影を行ったり,ヒューマン・モデルを非表示(透過)にしたりすることも可能.本システムを利用したアプリケーションとして,「VirDSE-HandTool」や「VirDSE-Workeroid」などがある.プラントのオペレーション教育や安全教育など,応用範囲は広がっているという.

 本システムのように,最近では産業用途のシミュレーション・システムにKinectを採用するケースが増えている.Kinectは低価格であり,Windows用のSDKも公開されている.アプリケーション開発の敷居が低いことから,Kinectが採用されているという.

 

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