ARM Cortex-Mマイコン・ワークショップ2012 Preview ―― テクニカル・セッション

ステップアップ! マイコン・アーキテクチャ入門
―― 組み込み分野の要求とマイコン技術の新しいアプローチ
![]() | ■講師プロフィール 大手電機メーカーでのOS開発,ファームウエア開発,海外拠点などを経て2004年ARM株式会社入社.TrustZone, IEM, Jazelleソフトウエアなどを担当し,2008年よりマイコン経験を生かしてCortex-Mシリーズ全般のFAE業務に従事. |
◎講師・・・ 平井 幸広 氏 アーム(株) シニアFAE
日本の組み込み技術はさまざまな産業の基盤として非常に重要な役割を担ってきた.組み込みシステムを支える日本のマイコン応用技術は世界で最も高度なものであり,これらは多くの組み込みエンジニアの尽力によって築き上げられたものである.そして昨今のグローバル化した市場の中で,組み込みエンジニアがマイコンの潜在能力を最大限に引き出すためには,マイコン・ハードウェアについての知見と正しい理解が必要になる.ここではマイコン技術の原点に立ち返り,マイコン・ハードウェアのアーキテクチャ(設計思想)について,やさしく解説する.組み込みシステムに求められるマイコンの要素技術に触れ, なぜ今Cortex-Mマイコンに注目が集まっているのか,その理由を説明する.
■C-01のプログラム概要
1. 日本の組み込み産業
― 1.1 組み込み技術が日本の根幹
― 1.2 世界の中の日本
― 1.3 ビジネスと技術のバランス
2. マイコン技術の変遷
― 2.1 Z-80の時代
― 2.2 ハードとソフトの分業化(ブラックボックス化のはじまり)
― 2.3 マイコンには「何ができるか」から「何が必要か」
― 2.4 マーケットのトレンド
3. マイコンに求められるアーキテクチャとは?
― 3.1 あなたのシステムにマイコンは本当に必要か?
― 3.2 システムの価値
― 3.3 性能
― 3.4 コスト
― 3.5 一番重要なソフトウエア
― 3.6 エコシステム
4. ARM Cortex-Mファミリのソリューション
― 4.1 ARMのアーキテクチャ
― 4.2 Cortex-Mファミリのコンセプト
― 4.3 最新のファミリ展開
― 4.4 機能
― 4.5 性能
― 4.6 CMSIS
■C-03の対象聴講者
・マイコン入門者,ハードウエアエンジニア,ソフトウエアエンジニア

「STM32ディスカバリ」で作る電子オルゴール
―― 1,000円キットを使って,和音の演奏を実現
◎講師・・・ 芹井 滋喜 氏 (株)ソリトンウェーブ 代表取締役
STMicroelectronics社から,1,000円ちょっとで入手できるARM開発キット「STM32ディスカバリ(STM32 Value line discovery)」が提供されている.ここでは,このボードに簡単な回路を追加し,和音の出る電子オルゴールを製作する方法を紹介する.STM32マイコンは豊富な周辺デバイスを備えており,これらのデバイスを利用するためのライブラリが公開されている.STM32マイコンは複数のタイマを内蔵しているので,これらをうまく使うことで和音の演奏を実現できる.製作したプログラムは比較的シンプルなため,STM32マイコンの入門学習に最適である.
■C-02のプログラム概要
・「STM32VLDISCOVERY」入門
― STM32VLDISCOVERYのハードウェア構成、入手方法などの簡単な紹介
・STM32VLのハードウェア
― 「STM32VLDISCOVERY」で使用されている、STM32VLのハードウェアの説明
・開発環境の構築
― 「STM32VLDISCOVERY」の開発を行うための、開発環境の構築方法の説明
・STM32ライブラリ
― STマイクロエレクトロニクスから提供されているライブラリの概要説明
・電子オルゴールのためのハードウェア
― 和音の出る電子オルゴールを作る為のハードウェアの基本の説明
・電子オルゴールのプログラムの概要
― 電子オルゴールのプログラムのフローチャートの紹介。エンベローブの作り方。ソースコードの解説など
・電子オルゴールの実演
― 実際に電子オルゴールを動作させて、実演を行う。
■C-02の対象聴講者
・これからARMを使ってみたい人
・電子オルゴールに興味のある人
・STM32を使ってみたい人
・STM32のライブラリの使い方がわからない人
■C-02の目標
・STM32VLDISCOVERYの開発環境の構築ができるようになる
・簡単なプログラムが作れるようになる
・デバッグ方法が判るようになる
・周波数と音階の関係が理解できる
・ビープ音にエンベロープをつける方法が理解できる
・PWMの考え方が理解できる
■C-02の参考文献,参考URL
トランジスタ技術 1011年3月号 P.162~
http://www.solitonwave.co.jp/

Cortex-Mマイコンではじめるロボット製作
―― ロボットの作り方とロボット技術の最新動向
◎講師・・・ 林原 靖男 氏 千葉工業大学工学部 未来ロボティクス学科 教授
家庭内などで活躍するロボットは次世代の産業として期待され,研究・開発が盛んに行われている.また,中学校の技術教育における「制御」の必修化やロボット・コンテストなどをきっかけとして,ロボット技術に興味を持つ若い世代が増えている.ここでは「ロボットを作ってみたいのだが,どこから手をつけたらよいのか分からない」という方を対象に,組み込みコンピュータを用いたロボット開発について解説する.また,ロボット技術の研究・開発の最新動向や,組み込みシステムとロボット技術の関係についても紹介する.
写真 制作するロボット
■C-03のプログラム概要
1.ロボット開発の動向
ロボット開発の動向に関して紹介する.ロボットは,工場内で隔離された産業用ロボットから,家庭内などで活躍するサービスロボットへと,その活躍の場を移しつつある.いくつか代表的なロボットを取り上げて,ロボット開発の動向に関して紹介する.また,開発した自律サッカーロボットをデモしつつ,そこで用いられている技術に関して紹介する.
2.ロボットとエンベデッドシステム
現在のロボット技術を支えているものの重要な柱にエンベデッドシステムがある.エンベデッドシステムがロボットの中でどのように応用されているのかを,実例を上げながら紹介する.
3.ロボットの開発手法
ロボットを開発するためには,機械,電気,コンピュータと様々な要素が必要となる.その技術的な要素を紹介しながら,実際にロボットを設計・製作する手順に関して簡単に紹介する.
4.付属マイコンの解説
「超入門! ARMマイコンではじめるロボット製作」に付属するTexas Instruments社のLM3S3748マイコンを解説する.Pawnを用いた開発環境により,比較的簡単にロボットを制御できることを紹介する.
5.付属マイコンの応用
LM3S3748マイコンの応用に関して紹介する.
■C-03の対象聴講者
・ロボットを開発したいが作り方がよくわからない方
・エンベデッドシステムがどのようにロボットに応用されるかに興味がある方
■C-03の講演の参考文献
超入門!ARMマイコンではじめるロボット製作(CQ出版社)
写真 自律的にサッカーを行うロボット

プロが教える! Cortex-Mマイコンでここまで出来るモータ制御
―― ベクトル・エンジンを利用した制御を回路およびソフトウェアの視点から解説
![]() | ■講師プロフィール 1993年東芝マイクロエレクトロニクス株式会社入社.生産技術部門で半導体組立装置の設計開発に従事,SoC応用技術部門を経て,2010年より現職のマイコントレーナー特にブラシレスモータ制御を担当. |
◎講師・・・ 松本 修 氏 東芝マイクロエレクトロニクス(株) ビジネス拡大推進部 主務
従来,モータのベクトル制御は高性能で高価なCPU,もしくはDSPを利用して実現していた,そのため,適用できる分野はFA(Factory Automation)などに限定されていた.しかし32ビット・マイコンの高性能化に伴い,安価なCortex-M3マイコンでもベクトル制御を実現できるようになり,家電機器などにもベクトル制御を適用できるようになってきた.また最近のマイコンは,演算部分を高速処理するベクトル・エンジンを搭載しており,CPUコアを低速動作させて電力の削減を図ったり,余った処理能力で力率改善を行ったりしている.ここではこれらの基礎となるベクトル制御の概要,およびマイコンに搭載されるベクトル・エンジンの利用方法について解説する.
■C-04のプログラム概要
1.なぜ,今ベクトル制御?
― 1.1 モータのベクトル制御の利点
― 1.2 アプリケーション例の紹介
― 1.3 応用ボードの紹介
2.ベクトルモータとは?
― 2.1 モータの動作原理
― 2.2 ベクトル制御の動作説明(インバータモータとの対比をしながら)
― 2.3 ベクトルエンジンの動作説明と利点
― 2.4 ベクトルエンジン制御ソフトのフローチャート
3.ここまで出来る実装内容の紹介
― 3.1 応用ボードの回路説明
― 3.2 サンプルソフト紹介
4.力率改善のデモ動画
5.東芝無償インバータ(2日)ベクトルモータ(1日)セミナ演習内容の紹介
■C-04の対象聴講者
・モータの制御の基礎知識が有る方
・インバータモータをマイコンで制御した経験が有ればさらに良い
・ベクトル制御の経験は無くても可

Cortex-Mマイコン基板の開発秘話と応用事例
―― Cortex-M3コア内蔵FM3マイコンを使い倒す!
◎講師・・・ 村上 真紀 CQ出版(株) Interface編集長
◎講師・・・ 安達 友道 氏 (株)エム・アイ・エー
◎講師・・・ 松浦 光洋 氏 (有)松浦商事
Interface誌2012年6月号には富士通セミコダクター製FM3マイコンを搭載したCPU基板が付属する.ここではInterface誌付属マイコン基板や専用拡張ボードの設計者が,その設計方針,および使用上の注意点について解説する.さらにFM3マイコン基板を使った応用例として,拡張ボードとの組み合わせで実現したEthernet通信システムやMP3プレーヤの製作事例などを紹介する.
⇒事前登録
⇒ARM Cortex-Mマイコン・ワークショップ2012 Preview Top
tag: CPU