組み込みAndroidな元気人を探せ!(3) ―― 音声認識ロボット「ドロンくん」を作ってみた
●安く作れる「ドロンくん」
まずは,インタビューから始めましょう.
―― 神戸支部でもAndroidで制御するロボット作りが盛んですよね.なんでも,今岡さんのドロンくんに触発されて,Androidで操作するロボットを「作ってみた」という人が多いようです注2.
注2:どのように触発されたかという経緯は,神戸支部の吉田さんのブログに書かれている.
今岡:ええ,ドロンくんはけっこう前から,ええっと,2009年ごろからやっています.
―― 2009年といえば,まだAndroidが世に知られていない時代です.もちろん,ADKやmicrobridge注3などの便利なインターフェースがないころの話です.
注3:ADKとmicrobridgeは,共に,AndroidとArduinoなどのマイコンをつなぐインターフェースである.第2回の記事や「リアルとアプリをつなぐ『Android Open Accessory Development Kit(ADK)』とは ―― Androidとクラウドとハードウェアの未来」を参照のこと.
今岡:ええ,だからDTMFなのです.
―― DTMFといえば,ピ,ポ,パの電話のトーン信号ですよね(死語だなぁ~).
今岡:そうそう.
―― そもそもAndroidって携帯電話機向けのOSですから.DTMFのトーン信号を出す機能は,Androidの基本機能ですね.
今岡:これだと,外部とのインターフェースを,イヤホン端子からのオーディオ信号だけで実現できます.
―― ロボット側のインターフェースは?
今岡:安価に販売されているDTMFのデコーダICを使っています注4.専用ICなので外付け部品もわずかで済みます(写真3).
注4:DTMFのデコーダICは「CM8870PI」を使用する.秋月電子通商にて2個300円で購入できる.
写真3 筆者が使った回路(tentenバージョン)と主要部品
左側がDTMFデコーダ部,右側がモータ駆動部.

―― なるほど,これを使うと1個のICで済みますね.モータの駆動は?
今岡:トランジスタを複数個使って駆動します.
―― こりゃ,シンプルだ.
今岡:ドロンくんの回路は,ブレッド・ボードを入れても500円かかりません(笑).
―― 低コストですね.
今岡:安く作るというのも,ドロンくんのコンセプトです.足回りは,マブチモーターなどの小型直流モータと市販のギア工作キットを使う方法もありますし,もっと安くするには,モータの軸をゴムのタイヤに押し付けて,直接駆動する方法もあります.
―― なるほど.
今岡:あとは,Androidの音声認識機能とDTMFトーン信号発生機能を組み合わせたアプリを入れてやれば,ドロンくんの完成です.もちろんソース・コードも公開しています.
―― 足回りの機構や電子回路もシンプルですし,ブレッド・ボードで作ると電子工作も簡単なので,ハードウェアが苦手な人でもチャレンジできそうです.
今岡:ええ,手軽にAndroid端末とクラウド,そして電子回路とメカ回りの連携を試してみることができます.
―― じゃあ,私も作ってみます!