はんだボイドが大幅に減る真空リフロはんだ付けに関心が集まる ―― 第41回インターネプコン ジャパン
電子基板の製造・実装技術に関する国内最大の展示会「第41回インターネプコン ジャパン」が,2012年1月18日~20日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催された(写真1).
電子機器はんだ付けの鉛フリー化(はんだ付け工程における鉛を含まないはんだ合金の採用)が国内では,ほぼ完了した.車載用に特化した鉛フリー合金など,特定用途向けのはんだ合金が提供されるようになり,鉛フリーはんだ合金は多様化しつつある.例えば自動車エレクトロニクス分野やLED照明分野の台頭により,パワー・エレクトロニクスに対応したはんだ付け技術の要求が強まってきた.インターネプコン ジャパンには,こうした市場の要求に対応した装置や材料などが展示されていた.
●はんだのボイドを抑制する真空リフロ装置を展示
今回,来場者の注目を最も集めていたのは,真空リフロはんだ付け装置の展示だろう(写真2).リフロはんだ付け装置メーカのエイテックテクトロンが真空リフロはんだ付け装置「RNV12M-512」を展示していた(写真3).
真空リフロはんだ付け装置とは,加熱ゾーンと冷却ゾーンの間に,気圧を極端に下げた真空ゾーンを設けたリフロ装置である.真空ゾーンの気圧は1kPa(キロパスカル)~10kPa.真空ゾーンでは,溶融はんだ中の気体(ガス)が気圧差によって外部に排出される.この結果,はんだ中のボイド(はんだ付け後の固体はんだに含まれる空孔)が著しく減少し,接続不良の発生が抑えられる(写真4).はんだの面積が比較的大きなパワー・デバイス(電力用半導体)のリフロはんだ付けで特に,威力を発揮する.
「RNV12M-512」は加熱ゾーンが5段,真空ゾーンが1段,冷却ゾーンが2段のインライン用リフロー装置で,窒素雰囲気(窒素で満たされた状態)対応のリフロ装置でもある.取り扱えるプリント基板の大きさは幅が100mm~250mm,長さが100mm~330mmである.装置本体の外形寸法は,長さが5,620mm,幅が1,310mm,高が1,500mm.
鉛フリーはんだ合金では,すず(Sn)を主成分とし,銀(Ag)を3.0重量%と銅(Cu)を0.5重量%含む「Sn-3.0Ag-0.5Cu」または「SAC305」と表記される合金が標準組成となっている.
エイテックテクトロンは2社のSAC305はんだ合金について,はんだボイドの発生面積比率を窒素雰囲気リフロと真空リフロで比較していた.実験では,A社のSAC305でボイドの面積比率が6分の1以下(2~3%),B社のSAC305で9分の1以下(0.4~1.9%)になったという.さらに,ボイド対策を施した鉛フリー合金では,真空リフロによってボイドの面積比率が0.6~0.7%ときわめて小さくなる,としていた.
真空リフロはんだ付けに対応したはんだ合金では,はんだメーカの日本スペリア社が,ボイド対策を施した真空リフロ対応はんだペースト「SN100C P810 D4」を参考展示していた(写真5,写真6).エイテックテクトロンのバッチ式真空リフロはんだ付け装置「RNVB12M-11」を使い,2mm角のパッドにはんだペーストを印刷して実験した.ボイドの面積比率は0.4%と,きわめて低い値に抑えられていた.