超薄型パソコンや第5世代高速無線LANなど,明日の生活を変革する機器とデバイスに注目 ―― 2012 International CESレポート
エレクトロニクスに関する世界最大級の展示会「2012 International CES(Consumer Electronics Show)」が,米国ネバダ州Las Vegasで2012年1月10日~13日に開催された(写真1).CES(セス)を主催する米国の業界団体CEA(Consumer Electronics Association)は,開催前の公表資料で出展社数を約2,700,来場者数を約14万人,取材に訪れる報道関係者を約5,000名と説明していた.
実際には公表資料の予測を上回り,過去最大の規模で開催された.CEAの発表(2012年1月13日付け)によると出展者数は3,100を超え,来場者数は15万3,000人を超えた.米国外からの来場者数は,3万4,000名強に上る.
これだけの巨大な規模になると,日本の展示会とは少し違った様相を呈してくる.展示ブースのレイアウトを示す携帯用地図は1冊にはまとめきれない.それどころか,携帯用の地図はなんと6冊に分かれていた(写真2).1冊だけで,日本の小規模な展示会に相当する数の展示ブースを収めている(写真3).
CESのメイン会場であるLas Vegas Convention Center(LVCC)は,北ホールと中央ホール,南ホールを抱える巨大な展示施設だ.しかし,出展規模があまりにも大きく,LVCCには全体を収容できないため,第2会場として隣接しているLas Vegas Hilton Hotelがある.さらに第3会場として近くにThe Venetian Hotelが用意されていた.LVCCとThe Venetian Hotelは大型バスのシャトル便によって結ばれている.
シャトル・バスの路線は,これだけにはとどまらない(写真4).主要なホテルとLVCCの間を結ぶ路線,Las Vegas国際空港とLVCCの間を結ぶ路線も運行されていた.
●家電とコンシューマ・エレクトロニクスは異なる
International CESを,日本の新聞は「国際家電見本市」あるいは「国際家電ショー」などの名称で報じることが多い.これは「コンシューマ・エレクトロニクス(Consumer Electronics)」を「家電」と訳しているためだ.「家電」という言葉からは,日本では白物家電と呼ばれる冷蔵庫や洗濯機,エアコンなどを想像しがちだ.また,家庭用オーディオ機器や家庭用ビジュアル機器(テレビやビデオ録画機)などを想い描くことも多い.
もちろん,こういった機器も展示されている.しかし,出展の範囲は「家電」という枠組みよりもずっと幅広い.コンシューマすなわち個人が購入できる,ありとあらゆるエレクトロニクス機器が一堂に介した展示会と捉えるべきだろう.展示物には例えば,ノート・パソコンやスマートフォン,メディア・タブレット,車載用オーディオ,ゲーム,ヘルスケア機器,カメラ,腕時計などがある.こういったコンシューマ機器向けのオプション・パーツやアクセサリ・パーツなども展示されていた.
さらに,CESには,エレクトロニクス機器を支える主要な半導体ベンダが,多数出展している.半導体ベンダが数多く出展する展示会は,最近ではかなり珍しい.日本のエレクトロニクス総合展示会として毎年秋に「CEATEC JAPAN(シーテックジャパン)」が開催されているが,大手電子部品ベンダの出展が多く,半導体ベンダの出展は少ない.
●特定の顧客や報道機関などだけに情報を開示
CESには多数の半導体ベンダが参加しているが,一般の来場者が製品情報や技術情報などを入手できるとは限らない.誰でも立ち寄れるオープンな展示ブースと,特定の来場者だけが入れるクローズドな展示ブースが存在するからだ.
クローズドな展示ブースは,ミーティング・ルーム形式のいわば個室のようなブースであったり, Las Vegas Hilton HotelあるいはThe Venetian Hotelに部屋を借りて,「スイート(Suite)」と呼ぶプライベートな展示スペースを設けていたりする.いずれも得意客や報道機関などの特定の来場者だけを,あらかじめ(開催前に)予約しておいた時間に案内する.大手の半導体ベンダでは,こういったクローズドなブースを設けている企業が少なくない.
筆者は1月13日(金)の最終日に取材した.本レポートではオープンな展示ブースを構えた半導体ベンダを中心に,展示会の様子を紹介する.
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