PoCL(Power over CameraLink)規格に対応したカメラやキャプチャ・ボードなどに注目 ―― 国際画像機器展2011
●赤外線サーモグラフィでリアルタイムにガス漏れを検知
フリアーシステムズジャパンは,ガス漏れ検知用赤外線サーモグラフィ「FLIR GF320」を展示した(写真5).本サーモグラフィを使うと,メタンやその他の揮発性有機化合物(VOC)のガス漏れを検出できる.温度分解能は25mK未満.微量のガス漏れもリアルタイムに検出できる.
検知可能なガスは,ブタンガス,メチルエチルケトン,ベンゼン,エタンなど20種類.測定温度範囲は-40℃~350℃,測定誤差は±1℃.ビデオ録画機能,ディジタル・カメラ機能,レーザ・ポインタ機能,ガス漏れ場所の位置情報を把握するGPS機能などを備えている.高解像度のLCDモニタおよび傾斜可能なビュー・ファインダを搭載しており,暗い環境や直射日光の下でも鮮明なイメージを捉えられる.
広範囲を一度にスキャンし,リアルタイムにガス漏れ穴を見つけることができるので,例えば巨大なプラントなどの保守点検作業に利用可能.また,離れた場所から検査・計測が行えるので,オペレータの安全も確保できる.
●ボード上のSDカードに1.4Gバイト/sの速度で読み書き
アバールデータは,1.4Gバイト/sの速度で読み書きできる大容量メモリ・ボード「APX-880」を展示した(写真6).PCI Express 2.0 Gen2(5.0Gbps)×4レーンに対応する.記録媒体には,SDHC規格およびSDXC規格に対応したSDカードを利用する.
外部インターフェースとして,光通信(GiGA CHANNEL)やLVDS(Low Voltage Differential Signaling)などのポートを備えている.光通信インターフェースの伝送速度は8.5Gbps,チャネル数は2.LVDSインターフェースの伝送速度は1.6Gbps×18チャネル.拡張モジュール「SDM-F18」を接続すると,最大2Tバイトまでメモリ容量を増やせる.
ストレージ帯域用バッファとして,512MバイトのDDR3-SDRAMを搭載する.DMAコントローラを備えており,CPUに負荷をかけることなくメモリに読み書きできる.データの読み出し/書き込みは,データ・ファイル単位で実行される.
●PoCL-Liteを4チャネル備えるキャプチャ・ボードを展示
グラフインは,4チャネルのPoCL-Lite(給電型)インターフェースを備えるキャプチャ・ボード「IPM-5514-Lite」を展示した(写真7).PoCL-Liteは,産業用カメラ・インターフェースの新しい規格である.14ピン・コネクタを採用することで,カメラの小型化とケーブルの細径化を実現している.
本キャプチャ・ボードはPCI Express×1レーンに対応し,標準で64Mバイトのオンボード・メモリを搭載している.解像度がVGA~2Mピクセルのモノクロ・カメラ,またはRAWカラー・カメラを4台まで接続できる.例えばアナログ・カメラからディジタル・カメラへ移行する場合や,カメラを複数台使用する場合に利用できるという.
カメラ画像のリアルタイム・キャプチャ機能や画像の録画・再生・保存機能を備えるビューワ専用ソフトウェア「IPM-View55」,ボード・ドライバ,ユーザ開発用ライブラリ,サンプル・アプリケーション(ソース・コード付き)が収録されている開発用ソフトウェア「IPM-Win55」(オプション)を用意する.
同社のブースでは,CameraLink規格のBase,Medium,Fullに対応した「IPM-8580CLシリーズ」のローコスト版後継機「IPM-5542-M/F」も展示されていた(写真8).
きたむら・としゆき