高速充電の電気自動車や「京」を超えるスパコンがエコをけん引 ―― エコプロダクツ2011

福田 昭

tag: 組み込み 半導体

レポート 2011年12月21日

●「京(けい)」を改良したスパコンが登場

 スーパコンピュータの展示も来場者の関心を集めていた.この10月に開催されたエレクトロニクスの総合展示会CEATEC JAPANで次世代スーパコンピュータ(スパコン)「京」を展示した富士通は,11月7日にスパコン製品「PRIMEHPC FX10(プライムエイチピーシー エフエックステン)」を開発し,販売を始めたと発表した.PRIMEHPC FX10は「京」の要素技術を改良したスパコンである.エコプロダクツ2011では,このPRIMEHPC FX10の本体(写真5)やシステム・ボード(写真6)などを展示していた.

 

写真5 富士通のスパコン「PRIMEHPC FX10」の本体

 

写真6 「PRIMEHPC FX10」のシステム・ボード

 

 本体とシステム・ボードは一見すると「京」と非常に良く似ており,区別が難しい.「京」とPRIMEHPC FX10の大きな違いはCPUにある.「京」では8コアの64ビットSPARCプロセッサ「SPARC64 VIIIfx」をCPUに搭載していたが,PRIMEHPC FX10は16コアの64ビットSPARCプロセッサ「SPARC64 IXfx」を採用した(写真7).SPARC64 IX fxの動作周波数は1.848GHzでSPARC64 VIIIfxの2GHzに比べてやや低いものの,CPUコア数が2倍に増えたのでピーク演算性能は向上している.ピーク演算性能はSPARC64 IXfxプロセッサが236.5GFLOPS,SPARC64 VIIIfxプロセッサが128GFLOPSである.消費電力当たりの性能は2GFLOPS/Wを超えており,「京」と比べても高い性能になっているという.

 

写真7 16コアの64ビットSPARCプロセッサ「SPARC64 IXfx」を作り込んだシリコン・ウェハ

 

 

●太陽電池自動車レースの優勝車両を展示

 環境に優しい自動車の研究開発を支援するイベントとしてソーラ・カー・レースがある.太陽電池だけを駆動エネルギーとする自動車(ソーラ・カー)の走行競技だ.

 世界最大級のソーラ・カー・レースは「ワールド・ソーラ・チャレンジ」では,オーストラリア大陸北岸のダーウィンから南岸のアデレードまで,およそ3,000kmの距離を踏破する.2011年10月に開催されたこのレースで,東海大学チームのソーラー・カー「Tokai Challenger」が優勝した

 「Tokai Challenger」には,パナソニックが高性能の太陽電池と2次電池を供給しており,エコプロダクツ2011では同社が「Tokai Challenger」の実物を展示していた(写真8).太陽電池パネルは薄膜(アモルファス・シリコン)とバルク(結晶シリコン)のハイブリッドタイプで,「HIT(Heterojunction with Intrinsic Thin-layer)太陽電池」と呼んでいる.2次電池はニッケル(Ni)系正極を使用した高容量リチウムイオン電池である(写真9).

 

写真8 ソーラ・カー・レース「ワールド・ソーラ・チャレンジ」で優勝した東海大学の「Tokai Challenger」

 

写真9 「Tokai Challenger」の概要

 

ふくだ・あきら
フリーランステクノロジーライター
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