Freescaleが新しいCortex-A9マルチコア・プロセッサやCortex-M4マイコンについて解説 ―― Freescale Technology Forum(FTF)Japan 2011
●ARMコア内蔵マイコン「Kinetis」について解説
Freescale社は昨年(2010年)6月に,ARM Cortex-M4コアを内蔵する32ビット・マイコン「Kinetis(キネティス)ファミリ」を製品化すると発表した.FTF Japan 2011では,Kinetisファミリの詳細が解説された(講演番号FTF-IND-F1473).
Kineteisファミリは200品種以上の製品を展開する予定となっており,Freescale社にとって主要な製品ファミリの一つに育てようとの意図がうかがえる(写真5).機能別に七つのサブファミリを用意しており,「K10」~「K70」というサブファミリ名が付けられている(写真6).K10は最も基本的なマイコン製品群であり,機能を追加していくことによってK20,K30と番号が増える形で製品系列が組んである.
写真5 Cortex-M4コア内蔵マイコン「Kinetisファミリ」の特徴
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写真6 Kinetisのサブファミリと主な機能
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200品種以上の製品を展開し,七つのサブファミリを有するKinetisは,言い換えるとサブファミリ間の違いが分かりにくい.大ざっぱに説明すると,基本製品であるK10を出発点として,USBインターフェースを追加したサブファミリがK20,セグメント液晶コントローラ(セグメントLCDコントローラ)を追加したサブファミリがK30となる(写真7).そしてK20にセグメントLCDコントローラを追加したサブファミリがK40である.K40は,K30にUSBインターフェースを追加したサブファミリでもある.
写真7 Kinetisのサブファミリ間の関係
左がベースとなるサブファミリで,右へ進むほど機能が追加されていく ※ 写真をクリックすると拡大します
K20にEthernetインターフェースや暗号化,DRAMコントローラなどを追加した高機能品がK60である.K60にグラフィックス液晶コントローラ(グラフィックスLCDコントローラ)を追加したハイエンド品がK70となる.一方,K40にアナログ測定回路やEthernetインターフェース,暗号化などを追加したサブファミリがK50である.
このほか,CPUコア(Cortex-M4コア)の動作周波数別に製品系列を三つに区分けしている.動作周波数が50MHz/70MHzの製品群を「ローパワー」,動作周波数が100MHzの製品群を「ミドルレンジ」,動作周波数が120MHz/150MHzの製品群を「ハイパフォーマンス」と呼ぶ.製品の出荷時期はK10~K70のサブファミリごとではなく,この動作周波数の区分けで決まっている(写真8).最も出荷時期が早かったのは「ミドルレンジ」で,昨年(2010年)の秋にサンプル出荷が始まった.今年(2011年)の9月には量産が始まる予定である.「ローパワー」と「ハイパフォーマンス」は,2011年の第4四半期にサンプル出荷を始める計画となっている.
写真8 Kinetisの製品化スケジュール
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ふくだ・あきら
フリーランステクノロジーライター
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