スマートフォンが自動認識デバイスに早変わり ―― 第13回 自動認識総合展
●コンクリート建造物にRFIDタグを埋め込む
RFIDタグ・システムを提供している凸版印刷は,コンクリート構造物の鉄筋に取り付けるRFIDタグを展示した(写真7).
これは住友大阪セメントと共同で開発したもの.コンクリートの種別や品質などの情報をタグに記録し,建造物の管理に役立てる.通信の周波数帯はUHF帯(920MHz~950MHz).15cmの深さに埋め込んだコンクリートの表面から約25cmの距離でリーダとの通信が可能である.
写真7 鉄筋コンクリート建造物の鉄筋に取り付けるRFIDタグ

一般に普及しているRFIDタグの13.56MHz帯では,コンクリートを介すると通信距離が短く実用的ではない.また生コンクリートにRFIDタグを混ぜた場合,タグの位置を特定できない.こういった問題を解決するため,鉄筋に取り付けるタイプでUHF帯のRFIDタグを開発した.開発したタグは細長い円筒形で,外形寸法は直径10mm×高さ250mmである.2本の鉄筋のちょうど中間に来るように取り付ける.2012年1月に,凸版印刷と住友大阪セメントの両社で販売を始める予定である.
●身に付けたままでカード認証
RFIDタグ・システムを提供している大日本印刷は,RFIDタグの新製品を展示した(写真8,写真9).入退室管理用のRFIDカード,光ディスク媒体用のRFIDラベル,重ね合わせに強いRFIDラベル,プラスチック包装のRFIDタグである.いずれもUHF帯の電波を使ってデータを読み取る.
写真8 入退室管理用のRFIDカード(左)と,光ディスク媒体用RFIDラベル(右)

写真9 重ね合わせに強いRFIDラベル(左)と,プラスチック包装のRFIDタグ(右)

入退室管理用のRFIDカードは,カードをリーダにかざす使い方が一般的なのに対し,本製品ではカードを身に付けたまま認証するという特徴を有する.衣服のポケットや財布などにしまったままでも認証できる.光ディスク媒体用のRFIDラベルは,CD,DVD,Blu-rayのディスクに対応する.ディスクのラベル面の中央に取り付けて使う.ディスクが何枚も重なっていても一括して読み取りできる.重ね合わせに強いRFIDラベルは,外形寸法が55mm×15mmと小さい.また920MHz帯に対応する.プラスチック包装のRFIDタグは,耐久性が高い.
●書き換えることでラベルを繰り返し使用可能
リコーは,レーザ光によってラベルの情報を書き換えられる「リライタブル レーザーシステム」を開発し,書き換えを実演してみせていた(写真10).2012年2月末に本システムを発売する予定である.
写真10 レーザ光によってラベルの情報を書き換えられるシステムの実演

専用ラベルにレーザ光を照射して熱によって文字やバーコードなどを印字(マーキング)する.印字した情報を消去するときは,別のレーザ光(書き込みよりもずっと強い光)をラベルに照射する.展示ブースには,青色のプラスチック箱の側面に貼り付けたラベルをまず消去し,続いてマーキングするラインを組んであった.消去およびマーキングの様子をカメラで撮影し,液晶ディスプレイに表示してみせていた.
消去動作では,細い帯状のレーザ光でラベル全体を走査することで,ラベルのマーキング情報を消していた(写真11).書き込み動作では,点状に絞ったレーザ光ビームを縦横に走査することで文字をマーキングしていた.印字できる文字の大きさは3mm角以上である.書き換え可能な回数は約1,000回,耐久性は屋外で約5年だという.
写真11 レーザ光によってラベルの情報を消去しているところ

ふくだ・あきら
フリーランス・テクノロジ・ライタ
http://d.hatena.ne.jp/affiliate_with/