Androidタブレット・ベースの業務用端末が続々,スマホと連携する認識機器も ―― 第14回 自動認識総合展

北村 俊之

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レポート 2012年9月21日

 2012年9月12日~14日の3日間,東京ビッグサイト(東京都江東区)にて,自動認識技術の専門展示会「第14回 自動認識総合展」が開催された(写真1写真2).今回で14回目を迎える本展示会は,自動認識技術の「省力・効率」を求める分野に加えて,「安全・安心」の分野,物流・製造などの現場の「見える化」の分野へと対象範囲を広げている.具体的には,1次元バーコードや2次元シンボル,RFID(Radio Frequency Identification),NFC(Near Field Communication),生体認証,画像認識などの自動認識技術,およびこれらの技術の応用システムが多数展示された.

 

写真1 オープニング・セレモニの様子

 

 

写真2 会場受付の様子

 

 

 主催は一般社団法人 自動認識システム協会.105社3団体(265小間)の規模で開催された.最終的な来場者数は25,477人となった.

 

●スマートフォンがバーコード・リーダに変身

 イメージャは,スマートフォンをベースとするバーコード・リーダ「KDC400シリーズ」(開発元は米国Koamtac社)を展示した(写真3).iPhoneやAndroidスマートフォンに専用ケースを装着して使用する.スマートフォンでデータの収集から送信までを行える.

 

写真3 イメージャが展示した「KDC400シリーズ」

 

 

 手持ちのスマートフォンを利用できるため,バーコード・リーダを低コストで導入可能.バーコードの読み取りについて,1次元バーコードのみの機種と,1次元バーコードと2次元シンボルの両方を読み取れる機種を用意する.また,OCR(Optical Character Reader;光学式文字読み取り)や郵便コード読み取りの機能を持つ機種もある.

 さらに,磁気カード・リーダを搭載する機種も提供する.これを利用すると,商品読み取りからカード決済までをスマートフォン1台で行える.POS(Point of Sale)レジの導入が難しい小規模店舗やイベント,移動販売,無店舗型サービス店などでの利用を想定している.

 バーコード・リーダ(専用ケース)とスマートフォンの間の通信はBluetoothによって行う.プリンタやタブレット端末などのモバイル機器との通信も可能.読み取ったデータは,スマートフォン付属のメモ帳アプリで表示する.

 

●必要なエリアだけをセキュアな通信スポットに

 東芝テックは,通信エリアを限定できる無線LANシステム「ARESPO tower」を展示した(写真4).本システムは,同軸ケーブルに電波を漏らすスロットを設けるLCX(Leaky Coaxial Cable)技術を用いたアクセス・ポイントで,電波到達範囲を抑え,半径4m以内の空間の通信エリアを作れる.これにより,外部からの不正侵入や傍受が困難となり,セキュアな通信環境を確保できるという.

 

写真4 東芝テックの「ARESPO tower」

 

 

 出力調整により,通信エリアの大きさを変更することも可能.アクセス・ポイントとアンテナが一体となっており,無線LANスポットの移動が容易.利用したい場所で手軽に無線LAN接続が行える.設置にかかわる費用負担は発生しない.対応する無線LANの規格はIEEE 802.11b/g/n(2.4GHz),セキュリティの規格はIEEE 802.1x/EAP,WPA2,WPAなど.伝送速度は最大54Mbps(IEEE 802.11gの理論値)または最大150Mbps(IEEE 802.11nの理論値)となっている.

 

●堅ろうでセキュアな業務用Androidタブレットが続々登場

 パナソニックシステムネットワークスは,堅ろうな業務用タブレット端末「BizPad(JT-H580VTシリーズ)」を展示した(写真5).画面サイズが7インチ型,10.1インチ型の2種類の機種を用意する.CPUには,米国Texas Instruments社の「OMAP4430」(Dual ARM Cortex-A9 MPCore,動作周波数は1GHz)を採用した.OSはAndroid 3.2.NFC対応のICカード・リーダ/ライタを搭載する.

 

写真5 パナソニックシステムネットワークスの「BizPad(JT-H580VTシリーズ)」

 

 

 7インチ型の機種は3G通信モジュールを搭載する.例えば,営業支援や機器の保守,現場管理,医療,訪問看護などの分野での利用を想定している.耐落下強度は120cm,防塵・防噴流性能はIP55準拠.

 10.1インチ型の機種はディジタイザ機能を搭載する.ディジタイザ・ペンと手書き文字認識ソフトウェアを組み合わせて,受付業務のペーパレス化などに利用できる.耐落下強度は80cm,防塵・防沫性能はIP54準拠.

 一方,カシオ計算機は業務用タブレット端末「V-N500」を展示した(写真6).手書きのノートと本タブレット端末をシステム手帳の形態で収納できるシステム・ケースが付属する.システム・ケースを閉じる際に,ノートに記入した内容を自動撮影し,ディジタル・データ化できる.システム・ケースはタブレット端末のスタンドとしても利用できる.タブレット端末を横置きし,市販のノートや紙を手前に置けば,ページをめくるだけで自動撮影が行える.

 

写真6 カシオ計算機の「V-N500」

 

 

 CPUにはTexas Instruments社の「OMAP4460」(Dual ARM Cortex-A9 MPCore,動作周波数は1.5GHz)を採用した.OSはAndroid 4.0.NFC対応のICカード・リーダ/ライタを搭載する.FeliCa,MIFAREなどの非接触ICカード,ISO 15693に準拠したRFIDタグ(13.56MHz)に対応する.

 SAM(Secure Access Module)スロットを標準搭載しており,暗号化したデータの送受信が行える.データ通信はNTTドコモのLTE Xi(クロッシィ)およびFOMAハイスピード,IEEE 802.11a/b/g/n,Bluetoothに対応する.耐落下強度は1.0m,防塵・防沫性能はIP54準拠・動作温度範囲は-20℃~50℃.

 

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