PICマイコンを使って測定ツールを作ってみよう(5) ―― ネットワークとA-Dコンバータを利用してさまざまな場所の温度を測る
●温度センサを接続して温度を表示する
それでは,温度の計測の話に戻りましょう.
RS-485ネットワークによる計測を始める前に,単体で表示させてみましょう.PICマイコン基板をUSBケーブルでパソコンに接続します.VBは動作させる必要はありません.ただUSBケーブルで電源を供給するだけです.スタンドアローン・メニューが8×2行液晶ディスプレイに表示されます.黄色のタクト・スイッチを押し,6番のVDCが上の行に表示されるようにします.ユニバーサル基板を小さくカットして,写真1のような小さな基板に温度センサと抵抗をはんだ付けします.
写真1 温度センサをPICマイコン基板に接続してスタンドアローン・モードで計測
温度センサは被測定物まで伸ばすので,できるだけ小さくし,PICマイコン基板との間にOPアンプ基板を入れて,微調整できるようにします.温度センサをなにも接触させずに空気中に放置すると室温が表示されます.ただし,表示温度は周囲温度+1℃であり,電圧表示で10mV/℃なので,室温が28℃だと,増幅度11倍で3190mVが表示されます.今,室温が28.0℃で,表示が3220mVなので,まあまあの精度です.使用している温度計が市販の安いものなので,絶対的な精度ではありません.
●VBでグラフを作成する
グラフを表示するには,テキストボックスではなくピクチュアボックスを使います(図9).
図9 ピクチュアボックス
ピクチュアボックスには,Lineメソッドなどを用いていろいろな図形を描画できます.線を引くには,異なる2点の座標と線のスタイル,線の色を決めます.これらをパラメータにして次のLine文を実行すると,ピクチュアボックスに線が現れます.
Picture1.line (1000,1000)-(1200,1000),&H0000FF&
これは,Picture1オブジェクト内の座標(1000,1000)から座標(1200,1000)まで,&H0000FF&の色(赤色)で線を引きます.次々に線を引くときは,XY座標のパラメータに-stepをつけると,差分のみの指定で線が引けます.
Picture1.Line -Step(4,0)
色を指定しないと,前回Lineメソッドを実行したときと同じ色が使われます.図10にLine文のソース・コードの例を,図11に実行結果を示します.
図10 ソース・コード例
図11 実行結果
グラフは,これら線の集まりによって表示できます.時刻の流れに合わせて画面が左に流れるように表示するには,一度書いたグラフを消して,再度左に1ドットずらして再描画します.これを高速に実行すると,グラフが左に流れていくように見えます.BitBlt(ブロック転送)関数を使えばもっと速く表示できますが,これはまたの機会に説明します.