PICマイコンを使って測定ツールを作ってみよう(5) ―― ネットワークとA-Dコンバータを利用してさまざまな場所の温度を測る

中西 紫朗

tag: 組み込み 電子回路

エレキ系DIY 2011年8月11日

●OPアンプと参照入力を利用すれば0.1℃刻みの温度測定も可能

 温度センサには米国National Semiconductor社の「LM35DZ」を使用しています.この温度センサは,もう10年以上も前から秋月電子通商などで売られていたものです.そのころ温度センサといえば,これほどコスト・パフォーマンスの高いものはなく,こればかり使っていた記憶があります.5Vを与えるだけで,温度に比例した電圧値が出力されるのは,とても便利でした.最近ではLM61やLM62といった新製品に置き換えられているようです.

 今回使用しているマイコン基板では,電圧測定はPICマイコンのAN1を割り当てています.メニューでは「VDC」となっています.電圧電流測定コネクタ(SV4)の1番ピンと2番ピンに測定したい信号を接続します.LM35DZは平面部が上を向くようにして,足を下から見て左が5V,中央が出力,右がGNDになります.SV4の1番ピンにLM35DZの出力を,2番ピンにGNDを接続し,5Vピンにはこの基板の5Vか,またはほかの5V電源を接続します.電池での使用も可能です.ただし,通常電流が5mAなので,電池駆動の場合は消費電流の少ない最新のLM61などを使うほうが賢明です.

 1℃温度が変わると10mV変動するので,5Vレンジでは1/500の変動になります.PIC18F2550のA-Dコンバータは10ビットなので,フルスケール1024の最小測定単位5mVになるので,なんとか1℃単位の測定をカバーできます.OPアンプ回路を付けて10倍に増幅すれば,0.1℃単位で測定できます.PICマイコンのリファレンス入力を利用すれば,フルスケール電圧を5Vより小さい電圧に変更できるので,0.1℃刻みの測定も行えます.

 信号を送る方法はいろいろありますが,できるだけ配線数を少なくしたいときは2線式を使います.VCC(+5V)を基準電圧にとる場合と,GNDを基準電圧にとる場合の2方式がありますが,PICマイコンからみるとGNDベースのほうが測定しやすいでしょう(図2).いずれも周囲温度+1℃が出力に出てきます.温度計測の可能領域は+2℃~+40℃です.これを外れると誤差が大きくなりますが,使えないわけではありません.

 

図2 LM35DZによる2線式の温度測定回路

(a) VCC基準出力




(b) GND基準出力

 

 工場などではツイスト・ペア線(より対線)を長く伸ばすとノイズをひろい,信号が不正確になります.ノイズに強い方式としてカレント・ループ方式があります.図3に概要を示します.

 

図3 LM35DZによるカレント・ループ方式の温度測定回路

 

 今回使うのは,図2(b)の2線式GND基準出力回路です.

 

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