多点マルチタッチや巨大な裸眼立体視ディスプレイに熱い視線 ―― 第21回ファインテック ジャパン レポート

福田 昭

tag: 実装 電子回路

レポート 2011年4月22日

 薄型ディスプレイ関連技術の総合展示会「第21回ファインテック ジャパン」が2011年4月13~15日に東京国際展示場(東京ビッグサイト)で開催された(写真1).多点マルチタッチのタッチ・パネル技術や裸眼立体視ディスプレイ技術などの展示が,来場者の注目を集めていた.

写真1 第21回ファインテック ジャパンの登録受付所

 

●多点マルチタッチのテーブル型ディスプレイ

 タッチパネル研究所は,32点のマルチタッチ入力のタッチ・パネルを内蔵したテーブル型のWindowsパソコンを展示した(写真2).マルチタッチ技術は赤外線をテーブルの下からパネルに照射し,影を赤外線カメラで検出する方式である.ディスプレイはリア・プロジェクション方式のフルカラー・ディスプレイ.テーブルの表面は強化ガラスである.

写真2 32点のマルチタッチ入力のタッチ・パネルを内蔵したテーブル型のWindowsパソコン(タッチパネル研究所)

 

 展示ブースでは,池を上から見たところを模擬した画像を表示していた.指でパネルにふれると,表示画面が波打つように変化する.複数本の指でパネルにふれるといくつもの波が立つ.この様子が面白く,来場者が相次いでパネルを触っていた.

●電子書籍の操作機能を備えたマルチタッチ・パネル

 CYBERDYNE(サイバーダイン)は,電子書籍の操作機能を備えた多点マルチタッチ入力のディスプレイ「TACTO(タクト)」を展示した(写真3).マルチタッチの点数は無限だとする.ディスプレイの大きさは46型.重量は約70kg.

写真3 多点マルチタッチ入力の46型ディスプレイ「TACTO(タクト)」(CYBERDYNE)

 

 「TACTO」には,ディスプレイに表示した電子書籍のページをめくったり,大きさを拡大縮小したり,描画ツールを呼び出したりする機能を搭載してある.描画ツールは電子書籍へのメモ書き用で,2色ペンと消しゴム(メモ書きの一部消去用と全部消去用)を備える(写真4).

写真4 「TACTO(タクト)」の描画ツールを呼び出したところ(CYBERDYNE)
ディスプレイを指で2回たたくと,ペンツールと消しゴムツールが現れる.

 

●非接触ICカードの読み取り機能を内蔵

 ミクロ技術研究所は,0.2mmと薄い静電容量方式のタッチ・パネルを開発した.外形寸法が400mm×500mmと大きなタッチ・パネルを試作し,展示ブースで披露していた(写真5).最大で対角8インチ型のタッチ・パネルを用意できるとする.

写真5 0.2mmと薄い静電容量方式のタッチ・パネル(ミクロ技術研究所)

 

 三菱電機エンジニアリングは,非接触ICカードの読み取りモジュール(リーダ・モジュール)をディスプレイ・パネルに埋め込んだタッチ・パネル・ディスプレイを開発し,実物を動作状態で参考展示した(写真6).大きさが15インチ型のフルカラー液晶ディスプレイの左下にリーダ・モジュールがあり,非接触ICカードをかざすとリーダ・モジュールがICカードの内容を読み取る.タッチ・パネル表面とICカードとの通信距離は約50mmである.無線通信の周波数は13.56MHz.非接触ICカード規格のMIFAREとFelicaに対応する.

写真6 非接触ICカードの読み取りモジュールをディスプレイ・パネルに埋め込んだタッチ・パネル・ディスプレイ(三菱電機エンジニアリング)

 

 ミナトエレクトロニクスは,静電容量式タッチ・パネルに対応した入力ペン「Touch Wand」を開発し,実物を展示した(写真7).軸先が導電性繊維,ペン軸が金属(先端側)と絶縁樹脂(根元側)で構成されており,使用するときは金属部分を持つ.実際に使ってみたところ,非常に軽いタッチで入力できた.タブレットPCを使った商談でこのペンを使うと,ディスプレイを指紋で汚さずにデモンストレーションができるようになる.

写真7 静電容量式タッチ・パネルに対応した入力ペン「Touch Wand」(ミナトエレクトロニクス)

 

●視差バリア方式の70型裸眼立体視ディスプレイ

 大画面立体視ディスプレイでは,70型と巨大な立体視ディスプレイが来場者の注目を集めていた.いずれも専用眼鏡が不要の,裸眼立体視ディスプレイである.

 韓国のINNOVISION社は,視差バリア方式(8視差)の70型裸眼立体視ディスプレイを展示していた(写真8).ディスプレイには韓国のポップス歌手グループ「KINO」のコンサート映像を流していたことから,女性ファンが足を止めて映像を見守る様子がみてとれた.展示していた裸眼立体視ディスプレイの解像度は1920ドット×1080ドット,表示画面の大きさは1549.44mm×871.56mmである.

写真8 70型の裸眼立体視ディスプレイ(INNOVISION)

 

 ニューサイト ジャパンも,視差バリア方式(8視差)の70型裸眼立体視ディスプレイを展示し,実際に映像を表示していた(写真9).展示ブースでは前年のファインテック・ジャパン(レポートはこちら)と同様に同社社長の神田 清人氏がマイクを握って元気にプレゼンテーションをしており,来場者が足を止めてプレゼンテーションを聴講していた.

写真9 70型の裸眼立体視ディスプレイ(ニューサイト ジャパン)

 

ふくだ・あきら
フリーランス・テクノロジ・ライタ
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