一般家庭を最新の発電システムやスマート・グリッドに対応させる組み込み技術に注目集まる ―― Embedded Technology 2010レポート
組み込み技術についての総合展示会「Embedded Technology 2010」が,2010年12月1日~3日の3日間,パシフィコ横浜(横浜市西区)にて開催された.「MST(マイコンシステム&ツールフェア)」という名称だったころから通算して今年で24回目を迎える本展示会には,新規企業約40社を含む,358社・団体(757小間)が出展した.主催は社団法人 組込みシステム技術協会(JASA).
今年のキャッチ・フレーズは「新時代の最先端テクノロジー ― 未来を拓く組込み技術」である.「スマート・エネルギー」,「クラウド・コンピューティング」,「Android,プラットホーム開発」,「マルチコア」などをキーワードとして,国内外の主要な半導体メーカやツール・ベンダが,最新技術やソリューションを展示・デモンストレーションしている.また今年は,特別企画ゾーンとして「スマートエネルギーと組込み技術」が新設された.展示会開催に先立つオープニング・セレモニーでは,組込みシステム技術協会(JASA)会長の松尾 隆徳 氏,アーム 代表取締役社長 西嶋 貴史 氏がスピーチを行った後,テープ・カットが行われた(写真1).
併催イベントとして,「ETロボコンチャンピオンシップ大会」も実施された(写真2).12月1日~2日の2日間にわたって,各地区大会で入賞した40チームが,ロボット・カーのタイムを競うトライアル・レースが実施された.
●一般家庭を発電システムやスマートグリッドに対応させる
インテルは,本展示会の「スマートエネルギーと組込み技術」ゾーン内に,一般家庭を最新の発電システムやスマート・グリッドに対応させる「ホーム・エネルギー・マネジメント・システム(HEMS)」のコンセプト・モデルを展示した(写真3).家庭内のさまざまな電気製品にセンサを搭載し,HEMSと電気製品間で情報交換を行うことにより,電気の利用状況を詳細にモニタリングすることができる.
本コンセプト・モデルでは,操作パネルにタッチ・スクリーン機能に対応した11.5インチの有機ELディスプレイを搭載しており,エネルギー管理からエンターテインメント,セキュリティまで,さまざまなアプリケーションを扱えるように設計されている.操作パネルのコントロール部には,マイクロプロセッサとして「Intel Atom Z5xxシリーズ」を搭載している.空冷ファンなどが不要なので,薄型・軽量の筐体デザインが可能であるという.
●Intel Q57 Expressチップセットを搭載した組み込みボードが登場
東芝パソコンシステムは,Intel Q57 Expressチップセットを搭載した組み込みパソコン用メイン・ボード「TEM120シリーズ」や,同ボードを搭載した長期供給の組み込みパソコン「FAB28/FAB53」などを展示した.
「TEM120シリーズ」は,Intel Q57 Expressチップセットを採用しており,プロセッサとしてCore i7/i5/i3,Pentium G6950に対応する(写真4).バスは,PCI ExpressとPCIを標準装備しており,PCI Express Gen 2.0に対応したグラフィックス・カードを搭載できる.また,オプション対応により,TPMセキュリティ・チップも搭載可能.
本ボードを搭載した「FAB-28(コンパクト・モデル)」と「FAB-53(タワー・モデル)」は,長期供給の組み込み用パソコンとなっている(写真5).Windows Embedded系OSに対応しており,例えばMicrosoft Windows XP Professional環境の継続供給が可能となっている.