一般家庭を最新の発電システムやスマート・グリッドに対応させる組み込み技術に注目集まる ―― Embedded Technology 2010レポート

北村 俊之

tag: 組み込み

レポート 2010年12月 3日

●ロボットにAndroidを搭載

 ナノコネクトは,Android 2.2を搭載した多機能ロボット「すーぱーどろいど君」を展示した(写真6).Android端末(デモンストレーションではソニー・エリクソンの携帯電話「Xperia」を使用)に遠隔操作のためのアプリケーションが搭載されており,「すーぱーどろいど君」に対してBlutoothを介して指示を送っていた.


写真6 ナノコネクトの「すーぱーどろいど君」

 

 今回のデモンストレーションでは,移動(前進・後退,左・右回転)とジェスチャー(「こんにちは」,「さようなら」)の指示,搭載するCCDカメラによる写真の撮影などの機能が披露された.撮影した写真は,操作側のAndroid端末ですぐに確認できる.同社の代表取締役 CEOである木島 貴志 氏によれば,会社の受付における受け付け業務,介護現場の高齢者とのコミュニケーション,留守番や監視などを用途として想定しているという.

 また,今後は画像認識やテレビ電話,Webブラウザ,電子メールなどの機能も搭載する予定.ロボットの形状の変更や,ユーザの希望に応じたアプリケーションの搭載も行える.現状の課題は,製造価格が高価(約100万円/台)であることと,電源の供給(バッテリ動作は難しい)だという.

●ZigBeeで家電機器を制御

 ディジ インターナショナルは,家電機器や照明などの制御についてのデモンストレーションを行った.同社のZigBeeエネルギー・マネージャ「DiGi XBee Smart Plug」とZigBeeモジュール「Programable XBee-PRO ZB」を利用してシステムを構成した(写真7).


写真7 ディジ インターナショナルの「DiGi XBee Smart Plug」や「Programable XBee-PRO ZB」を利用したデモンストレーション

 

 「DiGi XBee Smart Plug」は一種のインテリジェント電源で,接続された家電機器の計測・制御を行い,エネルギー効率の最大化とコストの低減を実現する.本エネルギー・マネージャを電源コンセントに差し込むだけで,管理対象の機器をZigBeeネットワークに加えることができる.また,複数のエネルギー・マネージャからの入力を集中管理するため,ConnectPort Xゲートウェイを設けることも可能.これにより,消費電流や電力状態,動作範囲などの情報をネットワーク上で管理できるようになる.

 「Programable XBee-PRO ZB」はZigBeeアプリケーションの開発モジュールで,米国Freescale Semiconductor社の8ビット・マイコン「SO8」を搭載する.通信可能な屋外見通し距離は最大3.2km.本モジュールを利用して設計された機器は,新しいZigBeeプロファイルや機能アップデート,セキュリティ拡張などをリモートで更新できるようになるという.

●小型・低価格のARM Cortex-M3向けJTAGエミュレータを展示

 ビットランは,小型で低価格を実現したARM Cortex-M3向けJTAGエミュレータ「JeRana」を展示した(写真8).本エミュレータはARM Cortex-M3マイコン専用機である.基本的なデバッグ機能に加えて,各社のARM Cortex-M3マイコンに内蔵されているフラッシュROMに直接プログラムを書き込む機能を備えている.


写真8 ビットランの「JeRana」

 

 Windows 7などのOSに対応したデバッガ・ソフトウェアを用意しており,各種コンパイラに対してソース・レベルのデバッグが可能.また,スウェーデンIAR Systems社のARM用C/C++コンパイラ/デバッガ「EWARM」上で動作するプラグインをオプションで用意しており,EWARMと組み合わせてコンパイルからデバッグまでをシームレスに行える.また,同じくオプションとしてBluetoothの無線通信ユニットも用意している.

●FPGAボードに24本のSerDesチャネルを搭載

 日本シノプシス合同会社は,米国Xilinx社のFPGA「Virtex-5T」を搭載したボード「HAPS-51T」によるデモンストレーションを実施した(写真9).ボード上にメモリ(フラッシュROMやシンクロナスSRAM)を搭載しており,単体でASICのプロトタイピングを行える.


写真9 日本シノプシス合同会社のFPGAボード「HAPS-51T」

 

 シリーズ共通のHapsTrak IIコネクタ(476本のI/O信号)に加えて,24本のSerDesチャネルを実現するHapsTrak MGBコネクタを搭載する.HapsTrak IIコネクタのI/O信号は,ユーザI/O,サブボード拡張用,メイン・ボード連結用として利用できる.また,ユーザ回路へクロックを供給するプログラマブルな回路も搭載している.

●旧NECエレと旧ルネサスの主力8/16ビット・マイコン製品を統合

 ルネサスエレクトロニクスは,旧NECエレクトロニクスと旧ルネサステクノロジの主力マイコン製品を統合した新しい8/16ビット・マイコン「RL78ファミリ」を展示した(写真10).本マイコン・ファミリは,「78K」(NECエレクトロニクス)と「R8C」(ルネサステクノロジ)の技術を統合して実現したという.


写真10 ルネサスエレクトロニクスの「RL78/G13」

 

 プロセス技術(回路線幅)の微細化や制御ロジックの効率化により,消費電力を低減した.また,外付け部品をマイコンの内部に取り込み,開発コストを低減できるようにした.

 ラインナップとして,端子数が20~128ピン,内蔵フラッシュROM容量が2K~512Kバイトの計302品種を提供する.汎用の「Gシリーズ」,液晶表示制御機能内蔵の「Lシリーズ」,自動車のボディ(車体)系向けの「Fシリーズ」などに分類される.今回はその第1弾として,汎用の「RL78/G12」および「RL78/G13」が紹介された.開発はすでに完了しており,2012年1月から順次サンプル出荷を開始する.

 

きたむら・としゆき

 

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