組み込み技術者のための資格試験,傾向と対策(4) ―― Androidの登場で注目高まるETEC(組込み技術者試験制度)
●試験の形式は?
試験はコンピュータを使用したCBT(Computer Based Test)によって,プロメトリック社の試験会場で実施されます.そのため,全国の会場において場所や日時を自由に選択し,受験することができます.
出題形式は,四択問題で,90分(アンケートの時間含む)で120問出題されます.問題数が多く,手早く解くことが求められますので,集中力の維持が大切です.試験結果は点数で示され,試験が終わってすぐ,その場でスコア・レポートによって確認できます.
●ETECの受験料は高い?
ETECの受験費用は,15,750円(税込み)です.また,ボリューム・ディスカウントやアカデミック・チャレンジなどの割引制度もあります.
よく,組み込み系の技術者から「ETECの受験料15,750円は高すぎる!」との意見を聞きます.しかしIT系のベンダ試験においては,これはごく普通の値段であり,IT系の技術者は割高感を抱くことが少ないようです.IT系では,就職時にベンダ試験や情報処理技術試験を活用したり,転職目的でよりレベルの高い試験を受験したりすることが当たり前の「文化」として定着しています.言い換えると,これまで「試験を受ける」文化がなかったこれまでの組み込み技術者も,そろそろ意識を変えていく必要があるのかもしれません.
ETEC試験を情報処理技術者試験として比較して,「高い!」という方も多いのですが,実は,国家試験である情報処理技術者試験が安すぎるのだと思います.
●個人受験が伸びてきている
企業/個人の受験比率を見ると,企業の受験が多く,メーカ企業や組み込みソフトウェア開発関連企業などの人材育成・教育支援の仕組みとして,ETECクラス2試験が活用されていることが多いようです.特に,試験を開始して間もないころは,企業の比率が圧倒的に多く,個人での受験は10数%程度だったようです.
しかし,ここ1~2年,個人の受験が増加し,20数%まで伸びているそうです.これは,ETEC試験の認知度が上がってきたことや,昨今の経済不況のおり,就職や転職に際して,「なにかスキルを証明できるもの」が求められているのでは? と推測できます.また,前回に解説した,情報処理技術者試験 エンベデッドスペシャリスト試験の前哨戦として受験する人もいるようです.
●Android技術者認定試験制度でETECも注目が高まる
2010年11月末からAndroid技術者認定試験制度が開始され,組み込みのみならず,IT業界の人からも注目されています.この試験制度はETECと連携しており,Android技術者認定試験がAndroid関連のスキルを証明し,組み込み技術者としての一般的なスキル・チェックをETECが担う構成になっています.このため,Android技術者認定試験への注目に合わせて,ETECへの注目も高まることが予想されます.
Android技術者認定試験制度については,このコラムでも後日,紹介していきたいと思います.
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