MEMSや赤外線,画像センサ技術を応用した計測機器に注目 ―― Sensor Expo Japan 2010レポート
●顔の表情をコンピュータ・データとして取得
クレアクト・インターナショナルは,顔の動きをトラッキングできるソフトウェア・モジュール「faceAPI」(開発元はオーストラリアのSeeing Machines社)のデモンストレーションを行った(写真5).単に顔の動きをトラッキングするだけでなく,まゆ毛や目,唇の動きをリアルタイムに検知し,データとして出力できる.すなわち,顔の表情などをコンピュータ・データとして取得できるという.
写真5 クレアクト・インターナショナルによる「faceAPI」のデモンストレーション
動作環境として,Windows XP/Vistaが搭載されたパソコンとWebカメラが必要.抽出した顔の特徴データは,ランドマークや3次元アバタなどの基本データとして利用できる.
●温度異常を画像で監視する熱画像センサを展示
アーズは,2,000画素の赤外線検出素子を搭載した設置型熱画像センサ「TP-Lシリーズ」(開発元はグループ企業のチノー)を展示した(写真6).エリア内発熱検知などの監視用途,温度データを活用する計装用途,システム・各種装置への組み込み用途などに利用できる.
写真6 チノーが開発した「TP-Lシリーズ」
測定視野角は,対象物に合わせて25°と60°の2種類から選択できる.センサ本体に警報接点出力を2点装備しており,EthernetインターフェースとUSBインターフェースを備えている.測定可能な温度範囲は,100℃~800℃.鉄鋼,金属,工業炉,焼却炉などの高温の設備監視にも利用できるという.
●MEMSマイクロセンサ,アンプ,A-Dコンバータを1チップに集積
センシリオンは,同社独自のCMOSens技術を用いて実現したガス流量コントローラ「SFC3000/4000」を展示した(写真7).CMOSensとは,MEMS技術によって実現した高精細なカロリ・メトリック・マイクロセンサ素子とアンプ,A-Dコンバータを単一のCMOSチップ上に集積する技術である.
写真7 センシリオンの「SFC3000/4000」
SFC3000が制御できる最大流量は200sccm,SFC4000は20000sccm.センサ信号はディジタル回路によって温度補正され,PWM信号に変換された後,バルブを制御するアナログ制御回路に送られる.これにより,高精度,設定時間の短縮,広いダイナミック・レンジなどを実現できたという.
きたむら・としゆき
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