AMDが性能で妥協しないノート・パソコン用CPUコア「Bobcat」を公表 ―― Hot Chips 22
●新型XboxのCPU GPU混載プロセッサ
このほか米国Microsoft社と米国IBM社が,2010年6月に発売された据置き型テレビ・ゲーム機「Xbox 360 250GB」に搭載された大規模プロセッサの内容を公表した.講演者はMicrosoft社のRune Jensen氏とIBM社のBob Drehmel氏である.
開発した大規模プロセッサはCPUとGPU(Graphics Processing Unit)を混載したもので,「CPU GPU SoC」と呼んでいた.Xbox 360用のプロセッサは,以前はCPUとGPUが別のチップになっていた.すなわち,65nm世代までは別チップの構成だった.これを45nm世代に縮小するときに,ワンチップ(シングル・ダイ)にまとめた(写真13).

写真13 据置き型テレビ・ゲーム機「Xbox 360」用プロセッサの推移
65nm世代までのCPUはIBM社が,GPUはATI Technologies社(現在のAMD社)が製造していた.そこで45nm世代の「CPU GPU SoC」の開発に当たっては,GPUについてはATI社の設計データ(Verilog HDL記述)をIBM社の設計データ(VHDL記述)に変換し,それから論理合成を実行してレイアウトした(写真14).「CPU GPU SoC」でもゲーム・プログラムからは以前と同じ回路に見えるように,後方互換性の維持に注意を払ったという.

写真14 「CPU GPU SoC」の設計手法
「CPU GPU SoC」のCPU部分には動作周波数が3.2GHzのPowerPCコアを3個内蔵し,1Mバイトの共有2次キャッシュも備える(写真15).GPU部分は,48個の並列ユニファイド・シェーダをグラフィックス・コアとして内蔵する.グラフィックス演算の処理性能は,1秒間に240億個のシェーダ命令実行,1秒間に40億画素の塗りつぶし実行,1秒間に5億個の三角形をジオメトリ処理,などである.グラフィックス用メモリには,10MバイトのeDRAMチップを同じパッケージに収納した.

写真15 「CPU GPU SoC」の内部ブロック図
製造技術は45nmのSOI(Silicon on Insulator) CMOS技術と10層金属配線技術である(写真16).トランジスタ数は3億7200万トランジスタ.パッケージは35mm角のフリップチップBGAである.

写真16 「CPU GPU SoC」の製造技術とチップ・レイアウト
ふくだ・あきら
フリーランステクノロジーライター
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tag: CPU
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