5000以上のアプリがWindows Azure上で動作,米国に次ぐ2番目の稼働実績をアピール ―― Microsoft Tech・Ed Japan 2010

北村 俊之

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レポート 2010年8月30日

 2010年8月25日~27日,「次世代クラウドの真髄がここに」をメイン・テーマに,「Microsoft Tech・Ed Japan 2010」がパシフィコ横浜(横浜市西区)にて開催された.今回で16回目を迎える本イベントは,Microsoftユーザであるソフトウェア技術者を対象とした,全世界規模で展開されている技術セミナである.70種類の「テクニカル・セッション」,パソコンを用いたトレーニングである「Hands-on Lab」,特定テーマを基に意見交換が可能な「Birds of a Feather」などで構成されている.

 開催初日には,マイクロソフト 執行役 デベロッパー&プラットフォーム統括本部の大場 章弘氏が「現実解としてのクラウドを支える最新テクノロジ」と題した基調講演を行った(写真1).この基調講演の模様は,インターネットイニシアティブの協力により,IIS7(Internet Information Services 7.0)のLive Smooth Streaming機能とSilverlightを用いてライブ中継された(写真2).この基調講演の模様をレポートする.

写真1 基調講演を行うマイクロソフト 執行役 デベロッパー&プラットフォーム統括本部の大場 章弘氏

写真2 基調講演のライブ中継の様子

●Windows Azureの導入事例を紹介

 基調講演では,大きく「本格化しつつあるクラウドの活用」,「クラウドの進化を加速するテクノロジ」,「クラウド時代に求められるIT技術者の役割」という三つの内容について説明した.今回のテーマであるクラウド・コンピューティングは,同社が次世代プラットホーム戦略の柱として全力を挙げて取り組んでいる最も重要な技術である(写真3).大場氏は,既にクラウド対応を実践している顧客やパートナ企業の具体的な取り組みを紹介しつつ,本格的な利用フェーズに入ったクラウドの現状についてアピールした.

写真3 Windows Azureの今日に至る流れ

 「本格化しつつあるクラウドの活用」では,2008年に発表されたクラウド・プラットホーム「Windows Azure」を利用した業務システムの事例を紹介し,国内でクラウド利用が順調に普及していることを示した.日本においてWindows Azureでホスティングされているアプリケーション・システムは5000以上となっており,米国に次ぐ2番目の稼働数であるという.事例紹介では,バンテックパソナ,ブルーオーシャンシステム,日本電子計算の導入事例が紹介された.

 ブルーオーシャンシステムでは,介護現場におけるクラウドの活用事例として,Windows AzureとSQLAzure,Silverlightを組み合わせたシステムを,実際に介護の現場でどのように利用しているのかを紹介した(写真4).

写真4 ブルーオーシャンシステムの介護支援システム

 日本電子計算は,優良事業会社が短期資金を調達するための「コマーシャルペーパー(CP)」発行において,企業と金融機関の取り引きにクラウドを利用するサービス「CP Communicator」を紹介した(写真5).

写真5 「CP Communicator」のデモンストレーション画面

 実際にクラウド・サービスを展開するNTTコミュニケーションズは,TCO(total cost of ownership)削減と業務革新の実現をもたらす仕組み,ハイブリッド・モデルにおけるクラウド技術要件,「Bizホスティングエンタープライズ」における取り組みなど,同社が提供するクラウド・サービスを紹介した(写真6).同社がMicrosoft社に期待することは,通信事業者が接続サービスに新たな付加価値を生み出せるような技術の提供だという.

写真6 NTTコミュニケーションズの「Bizホスティングエンタープライズ」における取り組み

 クラウドの提供形態については,これまでパブリック・クラウド,プライベート・クラウド,オンプレミスと組み合わせたハイブリッド・モデルなどさまざまな形態が提案されてきたが,顧客からの要求は日々多様化しているという.そのため,Microsoft1社だけでの対応が難しくなっている.そこでMicrosoft社は,2010年7月に米国で開催された「Worldwide Partner Conference 2010」において,サード・パーティがWindows Azureと独自のハードウェア,あるいはネットワーク基盤を一括して提供する「Windows Azure platform appliance」のサービスを発表した.早期共同開発企業として,米国Dell社米国eBay社米国Hewlett-Packard(HP)社富士通が名乗りを上げている.このようにクラウドの提供形態については,パートナ企業との連携を重視しており,クラウドの価値を高めるためには,エンド・ユーザとエンジニアの双方の視点をシームレスに結合する環境を整備することが必要であると強調した.

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