マイクロマシンから介護ロボットまで,幅広いスケールでロボット技術を紹介 ―― 第21回マイクロマシン/MEMS展,ROBOTECH

北村 俊之

 2010年7月28日~30日の3日間,東京ビッグサイト(東京都江東区)にて,MEMSや超精密・微細加工,ナノテク,バイオについての展示会「第21回マイクロマシン/MEMS展」が開催された(写真1).また,ロボット製造技術についての展示会「ROBOTECH」が同時開催された.主催はマイクロマシンセンター.


写真1 会場受付の様子


 今回で21回目を迎える本展示会には,9カ国の233社・団体(国内企業:171社,国公立研究機関・学術機関:38団体,海外企業:24団体)が出展した.同時開催のロボット製造技術についての展示会「ROBOTECH」,および材料表面処理技術についての展示会「SURTECH 2010」(主催は表面技術協会)と併せると,合計343社・団体に達する.

 近い将来,MEMS産業の柱の一つは,スマート・グリッドのようにエネルギーや資源の使用量を最適化して,より良い社会や自然環境を継続・維持するための用途(いわゆるサステナビリティ)になると予想されている.また,ロボット製造技術や材料表面処理技術は,MEMSデバイスやその関連技術と深い関係にある.例えばロボットにMEMS技術を利用すると,小型で複合的なセンシングが行える.つまり,電源や信号処理,通信機能までを備えた自立型のMEMSセンサ・モジュールの恩恵を受ける分野の一つである.

 今回は,MEMSに関心のある学生を支援する「就活応援プラザ」も新設された.この企画は,実際にMEMS分野の製品や技術を見てもらうことで,学生にMEMS産業への関心を高めてもらうことを目的としている.

 ここでは,第21回マイクロマシン/MEMS展とROBOTECHにおける興味深い展示について紹介する.

●RGB3ラインCCDで色分離の良い高画質のカラー顕微鏡を実現

 第21回マイクロマシン/MEMS展の会場では,レーザテックが,白色光を分光プリズムによって光の3原色に分光し,RGBそれぞれに対応した3ラインCCDイメージ・センサで受光するコンフォーカル(共焦点)カラー顕微鏡「OPTELICS H1200(WIDE)」を展示していた(写真2).こうした方式をとることで,画質が向上し,色分離も良くなる.


写真2 レーザテックの「OPTELICS H1200(WIDE)」


 一つのCCDイメージ・センサの最大画像サイズは400万画素(2048ピクセル×2048ピクセル).RGBそれぞれに対応した三つのCCDイメージ・センサを利用することから,最大1200万画素により画像が構成されることになる.対物レンズの瞳径は20mmまでカバーしているので,低倍から高倍までの高さ測定分解能が高く,傾斜面にも対応しやすい.

 フレーム速度は7.5フレーム/s~120フレーム/sの範囲で可変.これにより,高精度観察から高速測定まで,幅広い目的に利用できる.指定フレーム速度による長時間録画・再生も行える.

 オプションとして,電動ステージ,オート・フォーカス,自動計測,検査ソフトウェアなどが用意される.サンプルの反射率はSiの反射を基準として求めている.

●持ち運びしやすいディジタル・マイクロスコープを展示

 伯東は,Leica Microsystems社が開発したディジタル・マイクロスコープ「Leica DVM5000」を展示した(写真3).本マイクロスコープは,光学系,モニタ,およびコンピュータから構成されている.持ち運びしやすいことから,大型サンプルなどで破壊サンプリングが行えない局面でも,現場に持ち込んで検査できる.


写真3 伯東が展示した「Leica DVM5000」


 レンズの先端に取り付けられたロータリ・ヘッドを利用して,斜め方向から撮影することが可能.360°の回転撮影にも対応する.回転速度および観察角度は任意に調整できる.ハイダイナミック・レンジ機能を備えており,画像の細部までくっきりと表現できるという.

●紫外光を使い300mm/sの速度で微細加工

 レイチャーシステムズは,米国DPSS Laser社が開発した紫外光マーキング用レーザ・システム「SAMURAI」を展示した(写真4).本システムは,LD励起固体レーザを利用して,波長が355nmの紫外光を出力する.紫外線レーザ・アブレーション(レーザ光によるエッチング)などに利用可能.例えばサファイヤ・ガラスなどへのスクライブ(分断のためのすじ入れ)やITO膜(透明導電膜)の除去,穴あけなどに利用できる.


写真4 レイチャーシステムズが展示した「SAMURAI」


 マーキング・エリアは75mm,スポット・サイズは25μm以下,描画速度は300mm/sである.これらの仕様は,オプション品を使用することで変更できる.レーザ出力は1W.電源には100V~250VのAC(交流)電源を利用する.

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