Freescale JM Badge Boardを使ってSensor and Locationプラットフォームを動かす ―― センサ応用システムの開発を助けるWindows 7の新機能

日高 亜友

tag: 組み込み Interface

技術解説 2010年7月 1日

3.Sensor and Location プラットフォームの実装


 2008年10月に開催された米国Microsoft社の開発者向けのカンファレンス Microsoft PDC(Professional Developers Conference)2008では「Windows 7」が初披露されました.このイベントでWindows 7 の新機能の一つであるSensor and Locationプラットフォームの紹介とともに,来場者全員にこのBadgeボードが配布されました.

 Badgeボードは,Windows 7で新規に導入されたSensor and Locationプラットフォームの実質的なリファレンス・モデルとしても採用されています.Microsoft社ではWindows 7のすべてのSKU(エディション)に共通の重要な新機能として,マルチタッチとBiometric Framework(指紋などの生体認証機構)とともに,Sensor and Locationプラットフォームを導入しました.

 

●Sensor and Locationプラットフォームとは

 パソコンに接続する周辺機器として,GPSなどの位置情報センサをはじめとする各種センサ類があります.センサの種類と接続方式がさまざまだったため,これまで多くの場合,インターフェースやアプリケーションが個別に開発されてきました.これらを共通に扱うための枠組みがSensor and Locationプラットフォームです.

 Sensor and Locationプラットフォームは,ロケーション・コンポーネントとセンサ・コンポーネントから構成されます.GPSなどの位置情報センサを扱うロケーション・コンポーネントは,センサ類を扱うセンサ・コンポーネントの上位層として実装されています.センサ・コンポーネントでは,アプリケーションに対してSensor APIを規定することで,アプリケーションの共通利用を可能にしています.またSensorドライバ線用のDDI(Device Driver Interface)を規定し,ユーザ・モードで動作するUMDF(User Mode Driver Framework)のデバイス・ドライバとしてSensor ドライバを構成させることで,デバイス・ドライバを用意すれば複数種類のデバイスを同様に扱えるようになりました(図3).つまりSensor and Locationプラットフォームに対応していれば,複数種類のセンサ・デバイスを,複数種類のアプリケーションから同時に利用できるわけです.


 
 
図3 センサ・コンポーネント

 

 周辺機器との接続において,Sensor and Locationプラットフォームを導入することで得られる利点は次の通りです.

  • センサの種類が同じ複数のデバイスでアプリケーションを共通利用できる
  • ドライバ開発インターフェース(DDI)とアプリケーション開発インターフェース(API)が規定されることにより,ソフトウェアが開発しやすくなる
  • 複数のアプリケーションが周辺機器からのデータを同時に共通利用できる
  • Windowsに組み込まれたセキュリティ機構とアクセス制御機構を利用できる

 前置きはこれくらいにして,早速Badgeボードが持つセンサをWindows 7のSensor and Locationプラットフォームから使用してみます.

 

●機能確認に必要なソフトウェアを用意する

 MSDN(Microsoft Developer Network)Code GalleryのWindows Sensor And Location Platformsのページにアクセスし,Downloadsタブをクリックして画面を切り替え,Sensor Development Kit for Windows 7をクリックしてダウンロードします.ダウンロードするファイルはSensor_Development_Kit.zipです.

 Sensor_Development_Kit.zipを展開すると,「Documentation」,「Driver」,「Firmware」,「Tools」などのフォルダが現れます.これらのSensor Development Kitには,Windows 7にBadgeボードを接続してSensor and Locationプラットフォームの機能を確認するために必要な全てのオブジェクト・ファイルとソース・コードが含まれています.

 

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