セキュリティ対策がネットワーク機器のインテリジェント化を後押し ―― Interop Tokyo 2010レポート

　2010年6月7日～11日の5日間，クラウド・コンピューティングや仮想化技術，グリーンIT，次世代ワイヤレス技術，IPv4アドレスの枯渇とIPv6への移行などを扱ったネットワーク技術についての展示会/コンファレンス「Interop Tokyo 2010」が，幕張メッセ（千葉県千葉市美浜区）にて開催された（写真1）．主催は，Interop Tokyo 2010実行委員会．

　また今年から，モバイル・ワイヤレス分野についてのイベント「Mobile & Wireless Tokyo 2010」が併催された．このほか，6月9日～11日については，メディア・コンテンツ・ビジネスについてのイベント「IMC（Interop Media Convergence） Tokyo 2010」や，ディジタル・サイネージ（電子看板）についてのイベント「DSJ（ディジタルサイネージ ジャパン） 2010」も併催された．

写真1　会場の様子

●「ひかりTV」に対応したHDD内蔵セットトップ・ボックスを展示

　NECは，NTTぷららが提供する映像配信サービス「ひかりTV」に対応したセットトップ・ボックス「IS1050」を展示した（写真2）．家庭のテレビに接続すれば「ひかりTV」を視聴できるチューナとなっており，500Gバイトのハード・ディスク装置（HDD）を内蔵する．2系統のチューナを搭載し，2チャネルを同時に録画できる．専門チャネルや地上デジタル放送向けのIP再送信番組を約70時間までハイビジョン画質で録画可能（地上波デジタル放送をアンテナなしで視聴できる）．ビデオ・オン・デマンドなどの映像配信サービスにも対応する．録画機能については，タイム・シフト視聴や追っかけ再生，裏番組録画，番組開始時間変更といった機能を備える．

写真2　NECの「IS1050」

●ファイアウォール機器が1000以上のアプリを識別

　米国Paro Alto Networks社は，ポート番号やプロトコル，そのほかの秘匿技術に関係なく，ユーザが使用したアプリケーションを識別し，そのアドレス情報をユーザとひも付けて学習させることでアプリケーションの可視化や制御を行うファイアウォール機器「PA-4000シリーズ」を展示した（写真3）．

写真3　パロアルトネットワークスParo Alto Networks社の「PA-4060」

　本ファイアウォール機器は，同社独自のトラフィック分類技術により，プロトコルやポート，SSL暗号化，セキュリティ回避技術に左右されることなく，1000以上のアプリケーションを識別し，可視化できるという．本ファイアウォール機器を通過するアプリケーションのすべてのトラフィックを可視化したり，個別アプリケーションの利用頻度やユーザの利用状況を把握したりできる．これらの情報に基づいて，ファイアウォール・ポリシを設定し，ユーザあるいはグループごとにアプリケーション単位の制御を行える．また，アンチ・ウィルスやアンチ・スパイウェア，IPS（Intrusion Prevention System；不正侵入検知/制御），URLフィルタ，ファイル・フィルタなどのセキュリティ対策機能も搭載している．国内販売代理店はテクマトリックス．

●ルータ機能付き無線機がIEEE 802.11jに対応

　アンリツネットワークスは，5GHz帯の日本向けの無線LAN規格IEEE 802.11jに準拠した無線機「MaxFlow WR」を展示した（写真4）．本無線機は，音声や映像などのリアルタイム・アプリケーションに対して，IP伝送可能な通信機能と最適な通信経路を選択するルータ機能を搭載している． すなわち，無線機とルータを個別に設置・管理する必要はない．

写真4　アンリツネットワークスの「MaxFlow WR」

 　－40℃～55℃という温度範囲で動作を保障しており，屋外にも設置できる．山奥や離島など，通信ケーブルの敷設が困難な地域の情報通信ネットワーク，地震・台風などに備える防災ネットワークなど，屋外に無線機器を設置する必要のある用途で利用できる．セキュリティ機能については，許可されたアドレスからのみ接続できるフィルタリング機能を備えている．さらに，盗聴や情報漏えいを防ぐデータ暗号化機能も備えている．5GHz帯は登録認可制の周波数帯域となっているため，ほかの通信システムからの電波干渉が少なく，安定した品質で通信できるという．