セキュリティ対策がネットワーク機器のインテリジェント化を後押し ―― Interop Tokyo 2010レポート
●最大70Gbpsのアプリケーション・デリバリ・コントローラを展示
米国Brocade Communications Systems社は,レイヤ4-7スイッチングで最大70Gbpsのスループットを実現したアプリケーション・デリバリ・コントローラ「Brocade ServerIron ADXシリーズ」を展示した(写真5).本装置は,毎秒1,400万のDNSクエリ,160万のレイヤ4コネクション,1600万のレイヤ4トランザクションを処理できる.また独自の分析エンジンにより,Microsoft,SAP,Oracle,IBM,FIX,SIPの各アプリケーションのスループットを向上させている.ハードウェア・ベースのDoS攻撃防御機能を備えており,毎秒1億2,000万回のSYN攻撃に対応できる.
写真5 Brocade Communications Systems社の「Brocade ServerIron ADX 10000」
また,グローバル・サーバ・ロード・バランシング,トランスペアレント・キャッシュ・スイッチング,ファイアウォール・ロード・バランシングなどの機能もサポートしている.10Gbpsファイバ・ポート数を16ポートまで,プロセッサ・コア数を32コアまで,モジュール単位で拡張できる.「ADX 4000」および「ADX 10000」では,管理用プロセッサやアプリケーション用スイッチング・プロセッサ,スイッチ・ファブリックをモジュールごとに独立させる設計になっているため,各モジュールを個別にアップグレードさせることが可能.
マクニカネットワークスは,米国Citrix社製のアプリケーション・デリバリ・コントローラ「Citrix NetScaler MPXシリーズ」を展示した(写真6).本装置は,レイヤ4-7のトラフィック管理,アプリケーション・ファイアウォールなどの機能を備えている.多くの機能が一つの装置に集約されており,Webアプリケーションの運用管理コストを抑えられる.CPUとしてマルチコア・プロセッサを採用し,スループットの向上と拡張性を実現している.また,システムの脆弱性をねらうゼロ・デイ・アタック保護と統合XMLセキュリティの機能により,顧客情報や企業情報の漏えいを防止し,PCI-DSS(PCIデータ・セキュリティ基準)などの法令への適応を実現している.
写真6 シトリックスの「Citrix NetScaler MPXシリーズ」
●Android OS 1.6を搭載したスマートフォン端末を展示
KDDIは,フルキーボードとタッチパネル付きディスプレイを搭載したシャープ製のスマートフォン端末「IS01」を展示した(写真7).本端末は,スマートフォンとネットブックの間の市場を狙っており,同社ではこうした機器を「スマートブック」と呼んでいる.OSにはAndroid 1.6を採用する.CPUとして,1GHz動作のSnapdragon(米国Qualcomm社製)を搭載する.内蔵フラッシュ・メモリは4Gバイト,ユーザ領域は約3.4Gバイト.ディスプレイのサイズは約5インチで,解像度は960ドット×480ドット.タッチパネルは,静電容量方式のモバイルASV(Advanced Super View)液晶を採用しており,マルチタッチにも対応する.クエリ配列のキーボードは,11.2mmのキーピッチを実現した「パンタグラフ・キー」を採用している.
通信方式は,CDMA 1X EV-DO Rev.A(CDMA 1X WIN)に対応する.IEEE 802.11b/gの無線LANやBluetooth 2.1+EDR,赤外線通信などの機能も備えている.キーボード裏面のカメラには527万画素のCMOSイメージ・センサを利用しており,オート・フォーカス機能が付いている.記録メディアとしては,最大16GバイトのmicroSDHCカードに対応している.Android端末としては初のワンセグ対応モデルで,映像とデータ放送の画面を分割表示したり,全画面表示したりできる.
写真7 KDDIの「IS01」
きたむら・としゆき