ネットワーク速度の高速化に伴ってセキュリティ機器も高速対応へ ―― Interop Tokyo 2009レポート

北村 俊之

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レポート 2009年6月12日

 ネットワーク技術に関する展示会「Interop Tokyo 2009」が,2009年6月10日~12日の3日間,幕張メッセ(千葉県千葉市美浜区)で開催された(写真1).本展示会では,NGN(Next Generation Network)やデータ・センタ,仮想化,クラウド・コンピューティング,次世代ワイヤレス・システム,グリーンICT(Information and Communication Technology)など,ネットワークに関する製品や技術の展示が行われた.今回は「IPv4アドレスの在庫の枯渇にどう対応するか」がテーマの一つとして挙げられており,主催者によると,IPv6へのスムーズな移行を図るのと同時に,IPv4の枯渇についてトラブルが生じないようにしなければならないという.

 展示会場では,出展各社の機器や技術を相互につないでデモンストレーションを行う「ShowNet」,ネットワーク環境についての先端技術や注目テーマを集めた展示企画「パビリオン」,基調講演,チュートリアル,ワークショップからなる「コンファレンス」なども行われた.また「RSA CONFERENCE JAPAN 2009」,「IMC(Interop Media Convergence) TOKYO 2009」,「DSJ(Digital Sinage Japan)2009」が併催された.



[写真1] 会場の様子

●10Gbps伝送に対応したネットワーク・セキュリティ機器を展示

 マクニカネットワークスは,最大10Gbpsの伝送に対応する米国McAfee社製のネットワーク・セキュリティ機器「Network Security M-8000」を展示した(写真2).本セキュリティ機器は,ネットワークを構成するサーバ,クライアント,およびネットワーク機器の脆弱性を予防し,システムの内外で発生した脅威からインフラを保護する.必要に応じてネットワークへのアクセスをユーザごとに識別・許可することにより,問題を未然に防げるという.万が一,問題が発生した際には,影響範囲を最小限に食い止めるように運用者に適切な情報提供を行い,迅速な対応を支援する.



[写真2]マクニカネットワークスの「Network Security M-8000」

●専用ASICでスイッチ並みの速度のセキュリティ処理を実現

 フォーティネットジャパンは,専用ASIC(Application Specific Integrated Circuit)によって高速化を実現したセキュリティ機器「FortiGate-310B」を展示した(写真3).本セキュリティ機器は,セキュリティ処理専用のASICである「FortiASICネットワーク・プロセッサ(NP)」および「FortiASICコンテンツ・プロセッサ(CP)」を搭載する.8個のハードウェア高速化インターフェース(12ポートまで拡張可能)により,ネットワーク・セグメント間でファイアウォール・ポリシを実行し,スイッチ並みの速度で階層型のセキュリティを確立できるという.
 

 ポートの追加には,AMC(Advanced Mezzanine Card)拡張スロットを利用する.ディスク・ベースのストレージを装着してローカル・ログやコンテンツのアーカイブを記録することも可能.



[写真3]フォーティネットジャパンの「FortiGate-310B」

●専用データベースでログを一元管理

 RSAセキュリティは,コンプライアンス情報やセキュリティ情報を一元管理するログ管理システム「RSA enVision」を展示した(写真4).本管理システムは,ログを個別に記録するのではなく,一元的に統合管理するため,ログ収集専用のエージェント装備が不要となる.単一の書き込みと多数の読み出しを前提に設計した専用データベースを用意し,元データを加工せずに圧縮・保存する.これにより,ログの完全性を保った高速な読み出しが可能となる.また,ダッシュボード情報により,セキュリティ機器やネットワーク機器からのネットワーク状況やセキュリティ脅威情報をリアルタイムに監視することが可能.



[写真4]RSAセキュリティの「RSA enVision」

●100GビットEthernetシステムの開発を支援するツールが登場

 イクシアは,次世代高速EthernetシステムであるIEEE 802.3ba互換のレイヤ2トラフィック・ジェネレータ/アナライザ・ツール「100GE Development Accelerator System」を展示した(写真5).本システムは,開発の初期段階に,100GビットEthernet対応のスイッチやルータ,光トランシーバなどのハードウェアを検証するためのツールである.100GビットEthernetの物理コーディング・サブレイヤ(PCS)をサポートし,100Gbpsライン・レートでのEthernetトラフィック送受信,フレーム・サイズの変更,CRCエラーの検出,フレーム・カウントやフレーム・レートの測定機能を備える.また,データ・サイズやデータ・パターン,送信レートを定義したストリームを最大16まで保持可能.送受信カウントやバイト・カウント,送受信レートなどの統計情報も表示できる.



[写真5] イクシアの「100GE Development Accelerator System」

●6スロットを備える業務用メモリ・カード・レコーダ/プレーヤを展示

 パナソニック システムソリューションズ ジャパンは,1080iや720pに加えて,1080/24pネイティブ記録,1080/24PsF入出力に対応した携帯型の業務用メモリ・カード・レコーダ/プレーヤ「AJ-HPM110」を展示した(写真6).これはニュース取材や番組制作の現場,スタジオなどで利用することを想定したメモリ・カード・レコーダ/プレーヤである.
 

 本レコーダ/プレーヤはP2カード・スロットを6基搭載する.例えば同社の業務用メモリ・カード・カメラ・レコーダ「P2 cam」で収録した5枚のP2カードを一度にマウントし,プレイ・リスト編集結果をもう1枚のP2カードに書き出せる.9インチ型液晶HD/SDモニタを備える.再生モニタはもちろん,クリップのサムネール一覧を表示して,選択したクリップを再生することも可能.



[写真6]パナソニック システムソリューションズ ジャパンの「AJ-HPM110」

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