インテグリティな技術コラム(3) ―― ラプラス変換による分布定数の解
●境界条件と係数方程式
微分方程式の一般解に図2の境界条件を入れて,積分定数を求めます.
図2 境界条件
近端(x=0)は,
の関係があります.式(6)および式(7)にx=0を代入すると,近端の電圧と電流は,
なので,これらを式(12)に代入して,
を得ます.
遠端(x=l)の境界条件は,
です.遠端の電圧と電流は,式(10)および式(11)にx=lを代入して,線路の片道の伝搬遅延時間をτとすると,
なので,
となります.式(16)に式(18)と式(19)を代入して,
を得ます.式(15)および式(20)はA1(s)とA2(s)とに関する連立方程式です.このA1(s)およびA2(s)は式(10)および式(11)の係数なので,この連立方程式を解くと,任意の場所の電圧と電流を求めることが出来ます.
さて,式(15)と式(20)を,A1(s)とA2(s)について解きます.未知数が二つなので,どんな方法でも簡単に解けますが,ここでは行列式を使って解きましょう.
まず,行列表記すると,
となります.次に係数の行列式を求めます.
A1,A2は,
と求まりました.近端と遠端それぞれの反射係数r1およびr2は,
なので,式(23)および式(24)は,
となります.
式(26)および式(27)を式(10)に代入すると,
が得られました.式(28)および式(29)をラプラス逆変換すると,時間応答が得られます.