暮らしに役立つ新QC七つ道具(8,最終回) ―― アロー・ダイヤグラム法:「時間」を「整理」する
この連載では,品質管理(QC:Quality Control)において利用される七つの技法「新QC七つ道具」について解説している.「QC七つ道具」が定量データの分析に利用されているのに対し,「新QC七つ道具」は主に定性データを対象とした分析に用いられる.今回は,プロジェクトを進めるのに必要な作業と所要時間を表記するときに役立つアロー・ダイヤグラム法について説明する.(編集部)
●新QC七つ道具 その8:「アロー・ダイヤグラム法」
この連載では,主人公のZ(ツェット)君が問題にぶつかりながら,それを「新QC七つ道具」を使って対応していく様子を通じて,それぞれの道具の使い方を紹介していきます.
・前回までのあらすじ
若手社員のZ(ツェット)くんは,猪川課長にプロジェクト・マネージャの部下A(アー)さんの手伝いをすることを命じられました.部下A(アー)さんに,経験のためにプロジェクト計画を作成するように言われて作成したところ,計画に抜けが多いことを指摘されました.そして「系統図法」を教えてもらい,もう一度計画を立て直してみることにしました.直したものを見てもらうと,今度は入力と出力のつながりがないことを指摘され,「連関図法」を書いて見直してみることにしました.さらに,リスクに対する検討を行うように指示されたZ(ツェット)くんは,先輩の部下B(ベー)さんに「PDPC法」を教えてもらい,それを使ってリスクを検討することにしてみました.
[登場人物] Z(ツェット): アルファベットの最後の文字を割り当てられた永遠の新人.素直でまじめな性格. 部下B(ベー): 猪川課長の部下. |
●プロジェクト計画編
Z(ツェット):「A先輩,修正したプロジェクト計画ができました」 | |
部下A(アー):「そうかい.じゃあ見せてくれないか」 | |
Z(ツェット):「はい,これになります」 | |
部下A(アー):「見せてもらうよ(プロジェクト計画のページをめくる).うん,リスクについての想定も書かれているね.ほう,スケジュールに安全用のバッファを組み込んだんだね」 | |
Z(ツェット):「はい」 | |
部下A(アー):「うん,いい考えだね.これは自分で考えついたのかい?」 | |
Z(ツェット):「いえ,B先輩に教えてもらいました」 | |
部下A(アー):「なるほどね.えーと,もう一つ考えておいてほしいことがあるんだけど,いいかい?」 | |
Z(ツェット):「はい,なんでしょうか」 | |
部下A(アー):「その前に,一つ聞くよ.リスクについて考えたときに,どんな風にリスクを洗い出したんだい」 | |
Z(ツェット):「えー,プロジェクトを一つのプログラムとみなして,やることを細分化していって,その細分化したものでリスクを洗い出しました」 | |
部下A(アー):「つまり,やることを細分化したんだね」 | |
Z(ツェット):「はい,そうです」 | |
部下A(アー):「やることを細分化したときに,やる時間も細分化するということを意識したかい?」 | |
Z(ツェット):「え,どういうことでしょうか?」 | |
部下A(アー):「やることを細分化したときに,それぞれについて,どのくらいの時間がかかるかは検討してみたかい?」 | |
Z(ツェット):「あ,そういうことですか.はい,だいたいですけど見当をつけてみました」 | |
部下A(アー):「やることを細分化したときに,いくつか並行で走らせることができる部分があったかな?」 | |
Z(ツェット):「はい,ありました.それで,そういうところを並行に走らせることで全体のスケジュールに余裕を持たせるように考えたんです」 | |
部下A(アー):「うん.そうやれば,全体のスケジュールを抑えられるね (^ ^).でも,そのときには,一つ気をつけなければならないことがあるんだ」 | |
Z(ツェット):「それは,どういうことなんでしょう?」 | |
部下A(アー):「やることどうしの依存関係だよ.つまり,何かができないと先に進めないというものがあったとき,それが並行に走る部分の要(かなめ)にあった場合には,それが遅れると全体が遅れてしまうというリスクさ」 | |
Z(ツェット):「えーと,それって,依存関係を時間という視点で検討するってことですか」 | |
部下A(アー):「そう,その通り (^ ^)」 | |
Z(ツェット):「やることどうしの時間を検討していくというのは,考えたことがなかったのですが,それって何かいいやり方はあるんでしょうか」 | |
部下A(アー):「日程を検討する場合には,こんなやり方があるんだ」 |