暮らしに役立つ新QC七つ道具(7) ―― PDPC:「リスク」を「整理」する
この連載では,品質管理(QC:Quality Control)において利用される七つの技法「新QC七つ道具」について解説している.「QC七つ道具」が定量データの分析に利用されているのに対し,「新QC七つ道具」は主に定性データを対象とした分析に用いられる.今回は,計画の中の問題や不測の事態が発生した場合の対応を検討するときに役立つPDPC(過程決定計画図)について説明する.(編集部)
●新QC七つ道具 その7:「PDPC(過程決定計画図)」
この連載では,主人公のZ(ツェット)君が問題にぶつかりながら,それを「新QC七つ道具」を使って対応していく様子を通じて,それぞれの道具の使い方を紹介していきます.
・前回までのあらすじ
若手社員のZ(ツェット)君は,猪川課長にプロジェクト・マネージャの部下A(アー)さんの手伝いをすることを命じられました.部下A(アー)さんに,経験のためにプロジェクト計画を作成するように言われて作成したところ,計画に抜けが多いことを指摘されました.そして系統図法を教えてもらい,もう一度計画を立て直してみることにしました.直したものを見てもらうと,今度は入力と出力のつながりがないことを指摘され,連関図を書いて見直してみることにしました.
[登場人物] Z(ツェット): アルファベットの最後の文字を割り当てられた永遠の新人.素直でまじめな性格. 部下B(ベー): 猪川課長の部下. |
●プロジェクト計画編
Z(ツェット):「A先輩,修正したプロジェクト計画ができました」 | |
部下A(アー):「そうかい.じゃあ見せてくれないか」 | |
Z(ツェット):「はい,これになります」 | |
部下A(アー):「じゃあ,見せてもらうよ.(…プロジェクト計画のページをめくる)」 「うん,計画の間のつながりも考えられているな.最初の計画と比べると,随分良くなってきたね」 | |
Z(ツェット):「ありがとうございます」 | |
部下A(アー):「一つ,いいかい?」 | |
Z(ツェット):「はい,何でしょうか」 | |
部下A(アー):「ここに書かれている計画は,全てがうまくいくことを前提に書かれているよね」 | |
Z(ツェット):「はい,そうです」 | |
部下A(アー):「まあ,計画だから,最初からうまくいかないことを前提にするわけにはいかないけど,実際のプロジェクトでは往々にして物事は計画通りに進まないものだよね」 | |
Z(ツェット):「そうですね....確かに実際にやってみないと分からないことは,今までにもずいぶんありました」 | |
部下A(アー):「計画を考えるとき,うまくいかない部分をあらかじめリスクとして想定して対策を立てておくと,プロジェクトが成功する可能性が高くなるんだ.つまり,リスクもプロジェクト管理の対象としてとらえる,ということだね」 | |
Z(ツェット):「なるほど.リスクも管理の対象として考えるんですか」 | |
部下A(アー):「例えば,このプロジェクト計画の中で,リスクとして考えられそうなことは,どんなことがあるかな?」 | |
Z(ツェット):「すいません.考えていませんでした」 | |
部下A(アー):「それじゃあ,まずはどんなリスクが想定できるか考えてみて,そのリスクへの対処法を考えた計画を試しに立ててみてくれるかな」 | |
Z(ツェット):「はい,わかりました」 |
新たな課題をもらって,部下A(アー)さんの席から,自分の席に戻ったZ(ツェット)君でした.