暮らしに役立つ新QC七つ道具(8,最終回) ―― アロー・ダイヤグラム法:「時間」を「整理」する

国広 洋一

tag: 組み込み 半導体

技術解説 2010年3月 8日

●解説

 部下A(アー)さんが,Z(ツェット)くんに教えた方法は,新QC七つ道具ではアロー・ダイヤグラム法と呼ばれています.

 アロー・ダイヤグラム法とは,PERT(Program Evaluation and Review Technique)図とも呼ばれます.元は米海軍の弾道ミサイル計画プロジェクトにおいて,要員の仕事を調整するために考えられたものでした.この方法を使うことにより,2年近くも計画を短縮できたと評価されたために有名になった方法です.

 これは,ネットワーク図と呼ばれる種類の図で,工程順に矢印を引き,作業の始点と終点をノードと呼ばれる丸印で表わして,プロジェクトを進めるのに必要な作業と所要時間を表記します.

 作り方としては,大きく四つの段階に分けられます.

  1. WBS(Work Breakdown Structure)で作業を分解します.
  2. それぞれの作業にかかる時間を見積もります.
  3. 作業どうしの順序や前後関係を明らかにします.
  4. 作業どうしを組み合わせてPERT図を作成します.

 PERT図を作成することで,作業の完了時期を明確にすることとクリティカル・パス注2を対象とした時間短縮について検討できます.

 注2:クリティカル・パス(Critical Pass)とは,作業をつなぎ合わせた場合に一番時間がかかる経路のことです.最長経路パスという呼び方をする場合もあります.遅れが許されないクリティカル・パス上の工程に重点をおいて管理することで,効率のよい管理が可能になります.

 

 このアロー・ダイヤグラム法で,新QC七つ道具の紹介は終了です.長い間お読みいただき,ありがとうございました.QC七つ道具と比べると,新QC七つ道具は定性的なツールであることが特徴です.そのため,個々の手法よりは,その中に流れる「考え方」に目を向けていただくことを目指して記事を執筆してきました.いかがでしたでしょうか.

*       *       * 


 

 この連載が,より深く「考える」ためのきっかけとなれば幸いです (^^).

◆筆者プロフィール◆

国広 洋一(くにひろ・よういち).東京多摩在住の組み込み系ツール企業勤務エンジニア.『基本から学ぶソフトウェアテスト』の勉強会に参加したことをきっかけに,社外の勉強会にときおり参加しています.TEF(Testing Engineer's Forum;ソフトウェアテスト技術者交流会)SQiP(Software Quality Profession,スキップと発音する)の勉強会に行くと会えるかも.TestLink日本語化部会のメンバでもあります.オープン・ソースのテスト管理ツールであるTestLinkをどうぞよろしく.

 

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