一括読み取りや長距離読み取りなど,バーコード端末が着実に進歩 ―― 第7回 自動認識総合展 大阪

北村 俊之

tag: 組み込み

レポート 2010年2月23日

 2010年2月18日~19日の2日間,マイドームおおさか(大阪市中央区)にて,自動認識技術・ソリューションについての専門展示会「自動認識総合展 大阪」が開催された(写真1).主催は社団法人 日本自動認識システム協会.

 本展示会では,バーコードや2次元シンボル,RFID,IC&磁気カード,バイオメトリクスなど,ハードウェアやソフトウェアを含んだ機器を通じて自動的にデータを読み込み,内容を認識する「先端自動認識技術」,およびFA(Factory Automation)や流通,物流,倉庫,店舗,公共分野,トレーサビリティ,医療支援,セキュリティなどの分野で利用が期待されている「自動認識ソリューション」について,技術や製品,関連情報などが紹介された.


写真1 会場受付の様子

  


●多様なバーコードを読み取れるプレゼンテーション・スキャナを展示

 イメージャは,米国Honeywell社の「CodeGate」技術を搭載したプレゼンテーション・スキャナ「MS7580 Genesis」を展示した(写真2).本スキャナは,製造業や医療,小売業など,幅広い分野のPOS(Point of Sales)システムに使用できるバーコード・リーダである.スキャナの中央部にあるボタンを操作して,バーコードの種類を選択する.ボタンを使用せず,自動的にバーコードを読み取れるように設定することも可能.

 メモリ・バンクを4個搭載しており,各メモリ・バンクにはRS-232-CやPS2,USB,IBM46xx(RS-485)などのインターフェースに関する設定項目を記録できる.このほか,一度のスキャンで多様なバーコードを読み取れるFirstFlash機能,最大7件の情報を一度に読み取れるCode Select機能,ユーザの仕様に合わせたアプリケーション・モジュールを直接スキャナに埋め込むTotal Freedom機能を備えている.


写真2 イメージャの「MS7580 Genesis」
 

 

●紙の地図を利用して位置情報を取得

 デュプロは,紙の地図上にペンで印を付けたときに,その印の位置の経緯度の情報を取得できるシステム「Geolocation Finder」を展示した(写真3).本システムは,2007年に発生した新潟県中越沖地震で被災した柏崎市における調査経験をもとに,同社と京都大学 防災研究所により共同開発された.座標の割り出しは,QRコード化された基準点の位置座標を元に行っている.


写真3 デュプロの「Geolocation Finder」

 

 本システムでは,地図付きの調査票をOCR(光学的文字認識)技術を使用してスキャンし,座標データとしてデータベース化することが可能.また,調査計画を策定する際に必要な地図割り付け機能や人・時間・地域などのスケジュール管理機能,調査票のデザインや地図印刷,写真撮影といった調査現場を支援する機能,GIS(地理情報システム)や業務システムと連携したデータベース作成機能を備える.こうした機能により,現場にパソコンなどを持ち込まなくても,誰でも調査を行え,また調査結果を簡単にデータベース化して管理できるという.

 

●UHF帯端末で2mの長距離読み取りを実現

 デンソーウェーブは,長距離の読み取りと使いやすさを両立させた「UHF帯RFタグ高出力ハンディー・ターミナル」を展示した(写真4).本端末は,2m程度の長距離の読み取りが可能.また,複数のタグを一括で読み取れる「高速アンチ・コリジョン」機能も備えている.検品や棚卸時のタグの読み取り時間を短縮し,作業効率を向上できるという.


写真4 デンソーウェーブの「UHF帯RFタグ高出力ハンディー・ターミナル」

 

 展示ブースでは,タグの付いたダンボールを100個積み重ね,タグの情報をわずか数秒で取得するデモンストレーションを見せていた.また,小電力の機種である「BHT-604QUWB」向けに開発したアプリケーションをそのまま利用できるなど,同社の別のハンディ・ターミナルとの互換性を有している点をアピールしていた.本端末は2010年夏ごろの出荷を予定している.

 

●カラー・ビット・コードを活用してファイルを一括認識

 サトーは,ビーコアが独自開発した自動認識コード「カラービットコード」を活用したファイル一括認識システムを展示した(写真5).カラー・ビット・コードは,最小限の色数(3色)を使い,隣り合った色の組み合わせから情報をデコードする自動認識技術.バーコードやRFIDなどでは適用が難しい現場でも利用できる.色の並びだけでデコードし,各セルの大きさや形状,配列方向に制限はない.寸法や形状に依存しないコード体系であることから,コードにデザイン性を持たせることもできる.

 画像取り込みの際に精密さが要求されないので,精度の高いカメラは必要ない.取り込んだ画像にボケやブレがあったり,コードそのものにゆがみや折れがあっても,読み取れる.色彩の許容範囲が広いため,退色や照明の変化にも影響されない.また,一度に複数のコードを読み取ることができ,コードの位置や順番を特定して目標物を探し出しだすような使い方もできる.取り込み画像をデータとともに保管しておけば,トレーサビリティを確保することも可能.


写真5 サトーの「ファイル一括認識システム」

 

●GS1 DataBar対応のバーコード端末を展示

 ウェルキャットは,Bluetoothに対応したバーコード・ハンディ・ターミナル「Pet mio(PET-100-M)」を展示した(写真6).流通業や医療をはじめとするさまざまな業界において今後普及が見込まれているGS1 DataBar(RSS-14,RSS-14 Truncated,RSS-14 Stacked,RSS-14 Stacked Omnidirecthional,RSS Limited,RSS Expanded,RSS Expanded Stacked)の読み取りに対応する.賞味期限管理やトレーサビリティ管理などに利用できる.

 本端末では,手首に負担がかからないように使用頻度の高いキーを親指で押しやすい位置に配置した.16MバイトのSDRAMと16MバイトのフラッシュROMを内蔵する.1秒間に100回スキャンできるレーザ・スキャナを搭載しており,印字が薄いバーコードの読み取りにも対応する.


写真6 ウェルキャットの「Pet mio(PET-100-M)」
 

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