暮らしに役立つ新QC七つ道具(6) ―― 連関図法:作業間の「関係」を「整理」する
この連載では,品質管理(QC:Quality Control)において利用される七つの技法「新QC七つ道具」について解説している.「QC七つ道具」が定量データの分析に利用されているのに対し,「新QC七つ道具」は主に定性データを対象とした分析に用いられる.連載第4回では「原因‐結果」に注目して「連関図法」をから因果関係を整理する方法を説明したが,今回は作業や工程の前後関係に注目して仕事の流れを整理していく方法を説明する.(編集部)
●新QC七つ道具 その6:「連関図法」再び
この連載では,主人公のZ(ツェット)くんが問題にぶつかりながら,それを「新QC七つ道具」を使って対応していく様子を通じて,それぞれの道具の使い方を紹介していきます.
・前回までのあらすじ
若手社員のZ(ツェット)くんは,猪川課長にプロジェクト・マネージャの部下A(アー)さんの手伝いをするように命じられました.部下A(アー)さんに,経験のためにプロジェクト計画を作成するように言われて作成したところ,計画に抜けが多いことを指摘されました.そして系統図法を教えてもらい,もう一度計画を立て直してみることにしました.
[登場人物] Z(ツェット) : アルファベットの最後の文字を割り当てられた永遠の新人.素直でまじめな性格. |
●作業や工程の前後関係を図で整理する
![]() | Z(ツェット): 「A先輩,修正したプロジェクト計画ができました」 |
![]() | 部下A(アー): 「そうかい.じゃあ見せてくれないか」 |
![]() | Z(ツェット): 「はい,これになります」 |
![]() | 部下A(アー):「じゃあ,見せてもらうよ… (プロジェクト計画のページをめくる)」 「うーん,そうだなー.ヌケは,だいたいなくなってきているみたいだね.一つ,確認させてもらっていいかい?」 |
![]() | Z(ツェット): 「はい,なんでしょうか」 |
![]() | 部下A(アー): 「このプロジェクト計画では,ここでテスト設計と書いてあるんだけど,ここでテスト設計を実施するために必要なインプットはそろうのかな?」 |
![]() | Z(ツェット): 「えーと・・・,分かりません.すいません,考えてませんでした」 |
![]() | 部下A(アー): 「このタイミングでテスト設計をしたいのであれば,先に確認しておかなければならないことがあるね.QCDの優先度も確認しておきたいし,要求の難易度やボリューム,想定リスクへの対応方針などもおおざっぱでいいから見えていないと,テスト設計を行うときに悩むだろうね」 |
![]() | Z(ツェット): 「はい,なるほど,そうですね.そういう部分が見えていないと確かに困りますね」 |
![]() | 部下A(アー):「今,読ませてもらった限りでは,項目的なヌケはなくなってきているんだけど,情報のインプットとアウトプットのつながりが,まだ考慮不足のように見えるかな」 |
![]() | Z(ツェット): 「なるほど・・・・」 |
![]() | 部下A(アー):「以前,製品アンケートを解析したときに,複雑な原因を整理したことがあっただろう」 |
![]() | Z(ツェット): 「はい,そういえば,ありましたね.はじめての経験だったので,よく覚えてます」 |
![]() | 部下A(アー): 「そのときは,複雑な原因をどういう風に整理したんだい?」 |
![]() | Z(ツェット): 「えーと・・・,確かあのときは,原因どうしの因果関係を考えて,それらがどうつながっていくかを考えて,図にして整理しました」 |
![]() | 部下A(アー):「Zくんのプロジェクト計画書では,やること,つまり手段を書いてあるよね?」 |
![]() | Z(ツェット):「はい.そうです」 |
![]() | 部下A(アー):「原因ではなくて,やることの因果関係を考えて,同じように図で整理するということはできないかい?」 |
![]() | Z(ツェット): 「うーん・・・,やることの因果関係を考えて,図で整理ですか・・・」 |
![]() | 部下A(アー): 「そう.原因だけでなく,やることそのものにも因果関係は成り立つんだよ.あることができていないと,次のことができない,ということは今までになかったかい? 」 |
![]() | Z(ツェット): 「あ・・・,そうか.確かにそういう経験はありました.そうですね,やること同士の因果関係を考えれば,テスト設計を行うときにインプットが足りないというようなことには,すぐ気付けますね.(^ ^)」 |
![]() | 部下A(アー): 「うん,そうだね(^ ^).ということで,やることの因果関係ということにも着目して,もう一度書き直してみてくれるかな」 |
![]() | Z(ツェット):「はい,わかりました」 |